廃熱の回収
蒸気を使用するプラントの廃熱とは?
蒸気に限った話ではありませんが、プラントや設備では全てのエネルギーを使い切れている訳ではありません。蒸気を使用するプラントでは、それぞれの段階で使い切れないエネルギーが廃熱という形で発生しています。
この、蒸気を使用するプラントで発生する廃熱を次の3つに分類して考えてみます。
- ボイラーの燃焼排気ガス
- 蒸気使用設備から生じる廃蒸気
- ドレンの廃熱
ボイラー燃焼排気ガスの熱回収
ボイラーの燃焼室内温度は800℃程度あり、この熱で水を蒸気に変えるのですが、燃焼室からは当然ながら排気ガスが排出されます。この時、排気ガスの温度を高いまま排出してしまうと非常に大きな損失になります。
適正な排気ガス温度の基準は省エネ法でも定められています。排気ガスの廃熱はボイラー給水の予熱や燃焼用空気の予熱に用いるのが一般的です。
ボイラーにおける種々の損失の内、排気ガスの熱損失は非常に大きなウェイトを占めており、「ボイラー効率」に直結していると言えます。
カタログ上に記載されている「ボイラー効率」の良い機種は排気ガスの熱回収も十分に行われていると考えられます。逆に、排気ガス温度が高くなっている場合は、ユーザー側では対応出来ないケースもあり、ボイラーメーカーともよく相談して、対策を検討する必要があるでしょう。
蒸気使用設備から生じる廃蒸気の熱回収
設備によっては蒸気で直接加熱するものがあります。
蒸し器やオートクレーブ、ゴムの加硫缶などが代表的な装置です。このような設備・装置からは蒸気の「排気」がしばしば見られます。その工程にとって、排気自体は必要なのですが、そのまま大気に逃がしてしまってはやはり損失になります。
温水に吸収させたり、エゼクターを用いて昇圧させたりして、回収・利用することが出来ないかどうか検討すべきです。
ドレン廃熱の回収
蒸気を熱源として使用する場合、多くは間接加熱により、潜熱部分だけを使用しています。潜熱を失った蒸気は凝縮してドレンになります。「邪魔者」であるドレンは、速やかにスチームトラップから排出されます。
装置の運転面から見れば邪魔者のドレンも、百数十℃の温度を持つ熱水です。
その熱量は蒸気が元々持つエネルギーを100とすると、まだ30前後もの熱エネルギーに相当します。この熱を有効に活用しようというのがドレン回収です。
ドレンの回収・再利用と言うと、ドレンをボイラーの給水タンクへ返すことをイメージされる方が多いと思います。そのように限定してしまうと、「距離が遠い」「圧力が低い」「既に給水タンクが沸騰している」等の理由でドレン回収は無理と諦めてしまいがちです。
しかし、給水タンクへ返すだけがドレン回収ではありません。ドレン発生箇所近くで利用する方法も検討してみましょう。
1. 高温水として利用
スチームトラップから排出されたドレンをタンクに受け、高温水を必要とする洗浄工程などがドレン発生箇所の近くにあればそこで利用します。
必ずしもボイラー室まで返す必要はありません。ドレン発生箇所近くで使い道がなければボイラーの給水としての再利用を検討しましょう。
水質に懸念があり直接利用できない場合は、熱交換器を使って熱だけを回収するという方法もあります。
2. フラッシュ蒸気をそのまま熱源として利用
ドレンは低圧域に放出されると、一部が再蒸発してフラッシュ蒸気に変化します。高圧(高温)のドレンほど、同じ量のドレンから発生するフラッシュ蒸気量が多くなります。
高圧のドレンをフラッシュタンクに導き、そこで発生するフラッシュ蒸気を低圧の蒸気として利用することができます。
当社が過去に実施したトラップ診断のデータから推測すると、お客様の事業所に設置されているスチームトラップの総設置台数の内、5〜10%位が蒸気漏れの状態と言うことができます。これを確実に発見し、処置の際には省エネタイプのものに更新すれば、蒸気の大きな省エネとなります。
3. フラッシュ蒸気を昇圧して利用
フラッシュしたままの圧力では低すぎて使い道が無いが、もう少し圧力が高ければ用途がある、という場合は、スチームコンプレッサーで昇圧します。
より高圧の蒸気を駆動流体としてエゼクターを用い、フラッシュ蒸気を昇圧させて使用します。
4. 専用の熱交換器を用いた極低圧フラッシュ蒸気の利用
開放タンクから発生するフラッシュ蒸気のように、圧力がかなり低い場合は通常の蒸気使用設備では使用できません。専用の熱交換器を用いて温水を生成するなどの間接的な加熱源として利用します。
このように廃熱回収は、運転上必要な「排熱」であっても何か他の用途に使うことが出来ないかどうかを考え、工夫することが大切です。周りを見渡してみると、まだまだ未回収の廃熱があるはずです。
地道な取り組みですが、現場に目を光らせ、最新技術の動向にも注意を払いながら、省エネ活動を継続していきましょう。
