TLV蒸気と省エネメールマガジン
2012/06/26 Vol.106
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■■■ TLVメールマガジン Vol.106
■ ~蒸気を通して省エネ・環境を考える~
■ 2012年06月26日 株式会社テイエルブイ http://www.tlv.com/
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この夏は、電気事業法に基づく電気の使用制限の発動は回避されましたが、
政府からの節電要請は継続されており、みなさまの事業所でも節電の努力が続
けられていることとお察しいたします。
今号でも前号に引き続き節電に関連する話題をお届けします。
連載記事、蒸気のお話は、ディスクトラップでおなじみの、サーモダイナミッ
ク・スチームトラップの構造や作動のヒミツに迫ります。
今号もぜひご覧ください。
▼ INDEX ▼
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■□【製品紹介】
蒸気分野で節電の工夫
~ 蒸気式温水製造ユニットと電力不要ドレン回収ポンプのご案内 ~
■□【連 載】
もっと知りたい蒸気のお話
~ サーモダイナミック・スチームトラップ ~
★ トピック
★ 編集後記(日米合作)
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■【製品紹介】蒸気分野で節電の工夫
┃ ~ 蒸気式温水製造ユニットと電力不要ドレン回収ポンプのご案内 ~
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前号では発電機を紹介いたしましたが、今号では今からでもできる節電を
切り口に、節電のお役に立てるTLV製品をセレクトしてみました。
▼ 電力→蒸気へ転換の可能性を考えませんか?
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節電とは電力の使用量を減らすことですから、従来と同じことが電力を使用せ
ずに行うことができればそれは大幅に使用電力を削減できるチャンスです。
「蒸気を用いて○○を行う」
を合い言葉に、蒸気の熱と圧力を活かして節電の可能性を考えてみました。
▼ 蒸気の熱を利用 - 電力を使わない温水器
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ではまず「熱」です。
工場内には、直火による加熱、電力を使った加熱、蒸気を使った加熱などいろ
いろな加熱方式があります。また、温度域もさまざまです。蒸気へ置き換えや
すいのは100℃から200℃の範囲で行われている加熱工程でしょう。
ここでは、「蒸気を用いて温水を生成する」を取り上げました。
温水生成はガス焚きの湯沸かし器や電気温水器が使用されることが少なくあり
ません。
TLVでは、95℃で出湯可能な蒸気式のパワフルな給湯器SteamAquaシリーズを
ラインアップしています。
SteamAquaは熱交換器内を一方通行させる瞬間給湯器方式で加熱しますので、
1分足らずで数m3/hの温水を必要温度で得ることができます。
50号~290号級の大容量も魅力です。
------>>蒸気式温水製造ユニットSteamAquaの詳細はこちら↓
http://www.tlv.com/ja/catalog/news83j.html
▼ 蒸気の圧力を利用 - 電力を使わないドレン回収ポンプ
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次に「動力」です。
蒸気を熱源としてではなく、動力源として活用します。
蒸気を動力として使用する代表例は蒸気タービンでしょう。蒸気原動機は発電
機やポンプ、圧縮機、船舶の原動機として広く使用されています。
蒸気機関車も蒸気を動力として使用していますね。
ここでは「蒸気を用いてドレンを圧送する」に注目しました。
TLVでは、蒸気を動力として作動するドレン回収用メカニカルポンプ
パワートラップシリーズをラインアップしています。
オープン回収用の圧送ポンプとして、数十メートルの揚程で圧送が可能です。
電力を使わずにドレンを圧送する仕組みは、蒸気やエアの圧力によって
パワートラップ内部の圧力を高め、ドレンを押し出す方式です。
給気と排気を交互に繰り返す動作は蒸気機関車のピストンに近いと言えます。
液位検知から弁駆動、動力伝達までの全ての動作を浮力と蒸気圧力によって
機械的に行うため、電気計装や電気動力は一切不要です。
------>>電力を使わないポンプ⇒パワートラップの詳細はこちら↓
http://www.tlv.com/ja/catalog/newj93j.html
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┃(彡(彡)彡)【連載】もっと知りたい蒸気のお話
┃ (彡(彡) ~ サーモダイナミック・スチームトラップ ~
┗━(彡)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━第91話━━
▼ サーモダイナミック・スチームトラップ
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サーモダイナミック・スチームトラップは小型軽量で、幅広い圧力域で使用可
能な上、垂直配管でも水平配管でも設置できます。
これらの特長から、主管のドレン抜き、トレーシング、小型の装置用まで幅広
く使用されています。
その作動はメリハリのある間欠作動であり、数秒間ドレンを排出し、数十秒間
閉弁状態が続く・・・このような作動を繰り返します。
▼ サーモダイナミック・スチームトラップには2つのタイプがあります
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サーモダイナミックスチームトラップは2つのタイプに分類されます。
インパルスタイプとディスクタイプです。
インパルスタイプは、蒸気ロスが多いことや詰まり故障を起こしやすいことな
どからあまり使われなくなっています。今日ではサーモダイナミックスチーム
トラップの主流はディスクタイプです。
ディスクタイプは機械的に何にも拘束されていない円盤形状の1枚の弁体が弁
座に密着したり離れたりすることで開閉し、ドレン排出を制御しています。
弁座は同心である内輪・外輪の2つの円で構成されています。
内輪は流入口と流出口の仕切る役割です。外輪は変圧室から蒸気の漏れ量を
制御する役割があり、規則正しい間欠作動に寄与します。
▼ ディスク・スチームトラップの長所
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ディスク・スチームトラップが幅広く使用されているのは以下のような長所が
あるためです。
設置が容易
- 軽量コンパクト
- 水平配管でも垂直配管でも設置可能で利便性が高い
選定が容易
- 1台で幅広い圧力レンジ適応するため選定や在庫管理が容易
過熱蒸気で使用可能
- ウォーターシールを必要としない
- 超臨界水で使用できる唯一のスチームトラップ
凍結に強い
- 内部に水が残留しにくい構造のため凍結しにくい
イニシャルコストが安価
- シンプルな構造であるため、製品単価が比較的安価
▼ ディスク・スチームトラップの短所
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一方で次のような短所があります。
寿命が短い
- 間欠で衝撃的な作動であるため、弁や弁座の摩耗が激しい
蒸気ロスが大きい
- 作動原理上蒸気の巻き込み量が多い
外的要因を受けやすい
- 降雨や外気温の影響で変圧室内の蒸気圧力が変化し、作動に影響する
騒音が大きい
- 閉止時間の長い間欠排出であるため、排出時の瞬時流量が大きく、ドレン
排出時の音が大きい
▼ ディスク・スチームトラップの作動説明
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前述の通り、開弁と閉弁を交互に行う間欠作動です。
弁が開閉するのは、弁の上面と下面それぞれに異なる力が働くからです。
二つの力は蒸気・ドレン・空気などからもたらされ、運動エネルギーや圧力
エネルギーが複雑に絡み合っています。
以下に3つの場面に分割してディスクトラップの作動を考えてみます。
◆作動1.開弁状態→閉弁
トラップが閉弁する際、2つの力の働きが重要です。
変圧室内を満たしている蒸気によってディスク弁の上面に掛かる力と、ディス
ク弁下面を走り抜ける蒸気によって生じる力です。
蒸気とは、生蒸気のみならず、トラップへ流入してくるドレン自体が圧力低下
によってフラッシュしたものも含まれます。
ディスク弁の開→閉弁時、ディスク弁の下面側では、蒸気は高速で流れ
ます。この高速の流れはディスク弁下面域の圧力低下を引き起こします。
圧力低下によってディスク弁に下向きの力が作用し、ディスク弁はバルブシー
トに着座します。
一方、変圧室内では、蒸気はディスク弁の上面にその面積×圧力で計算される
大きさで下向きの力=閉弁力として働きます。
◆作動2.閉弁状態→開弁
ディスク弁が閉弁位置にあるとき、変圧室内には蒸気が閉じこめられています。
この蒸気圧力はディスク弁へ下向きの力をかけています。変圧室内の蒸気圧力
自体で変圧室がシールされている状態です。
時間が経過すると、熱伝導および放熱等によって、変圧室内の蒸気圧力が低下
していきます。
変圧室内の圧力低下は、弁・弁座の摩耗や傷によっても起こります。弁・弁座
のシール性能が悪いと、変圧室内の蒸気が二次側へ抜けてしまうからです。
このようにして変圧室内の圧力が低下した結果、開弁力が閉弁力を上回ると
開弁し、ドレンが排出されはじめます。
◆作動3空気障害対策
実は、ディスクトラップにおいては空気が流れても蒸気が流れたときと同様に
閉弁します。
しかも空気は蒸気と異なり、トラップが使用される通常の圧力・温度域では
凝縮しないため、閉弁力が維持され続け、いつまでたっても開弁しません。
当然ドレンは排出されません。
これはすなわち、空気障害(=エアバインディング)です。
ディスクトラップに限らず、エアバインディングはスチームトラップにおいて
典型的なトラブルです。
対策として、バイメタルのように温度によって変形する部品を使うものや、
弁・弁座のシール性能を落として空気を漏らす方法など現在いくつかの方法が
存在します。
空気排除の方法によっては、蒸気をロスするばかりか、スチームトラップの
寿命にも影響しますので、たかが空気排除、補助的な機能の問題と軽視できな
い重要なポイントです。
------>>ホームページでは図を用いて分かりやすく説明しています
http://www.tlv.com/ja/steam_story/1206thermodynamic.html
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★ トピック
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☆多数のご来場をいただきましてありがとうございました。
「FOOMA JAPAN 2012 国際食品工業展」出展レポート
http://www.tlv.com/news/newsj/news2012_06_01.html
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★ 編集後記
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最後までお読みいただきありがとうございます。
今月の蒸気のお話ではサーモダイナミック・トラップを取り上げました。この
タイプは、シンプルな構造に反して、作動を説明するのがとても難しいです。
難しい説明を文字で表すとどうしても長くなります。
そんな裏事情もあり、なかなか記事にならなかったのですが、TLVグループ内
でも数多くディスクタイプを販売している米国販売会社からリクエストが入っ
たこときっかけに、制作に動き出しました。
記事内容も米国のスタッフと議論しながら、日本語で原案→翻訳→英語で修正
意見→日本語で修正原稿作成・・・このサイクルを繰り返すという初めての制
作手法を試みました。
手前味噌ではありますが、日米合作の内容にアニメーションも通常より多く用
いた力作です。メールマガジン本文は誌面の都合で文字数を減らした圧縮版に
なっておりますので、是非リンク先のTLVホームページでフルサイズをご覧く
ださい。
来月のメールマガジンは7月31日ごろ配信予定です。
どうぞお楽しみに♪
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☆リンク先をご覧いただけない環境の方には、同内容の資料をお送りして
おります。ご希望の資料を明記の上、ccc@tlv.comまでご連絡下さい。
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