TLV蒸気と省エネメールマガジン
2012/09/25 Vol.109
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■■■ TLVメールマガジン Vol.109
■ ~蒸気を通して省エネ・環境を考える~
■ 2012年09月25日 株式会社テイエルブイ http://www.tlv.com/
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先週辺りから急に涼しくなってきました。TLV本社のある兵庫県加古川市でも
重たく実った稲の穂に塩辛とんぼが止まる秋らしい風景が見られます。
秋の風を感じに、週末お弁当を持ってどこかに出かけたくなりますね。
さて、今月のメールマガジンでは、先月に引き続き新製品をご紹介します!
空調(外調機)・冷熱設備のウォーターハンマーや金属腐食の原因となる
ドレン滞留。この対策やドレン回収に広く使用されているメカニカルポンプに
容量が大きくコンパクトな新モデル『パワートラップGP10M/GT10M』が登場し
ました。これまで設置できなかった設備にも広く対応します。
連載記事、蒸気のお話は蒸気輸送配管の設計をする際に、最も重要な項目の
一つである口径の選定をご説明します。
では、今月のメールマガジンをお届けします。
▼ INDEX ▼
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■□【新製品】
ドレン出口の低い空調設備用メカニカルポンプ
~ 容量が大きくコンパクトな新パワートラップ GP10M/GT10M登場
■□【連 載】
もっと知りたい蒸気のお話
~ 蒸気輸送配管の口径 ~
★ トピックス
★ 編集後記(節電要請期間まもなく終了)
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━【お知らせ】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
蒸気システムの設計を学ぶ!技術計算ツールを使いこなす!!
TLVスチームアカデミーセミナー・【エンジニアリング・コース】のご案内
http://www.tlv.com/ja/seminar/s-a3-r.html
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「蒸気システムの設計について学びたい」
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http://www.tlv.com/ja/steam_table/eng_calc.php
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更に知識を高めたい」 ・・・という方
その方々には、【エンジニアリング・コース】がお勧めです。
蒸気システム構築のための設計ポイントが、実用的な事例や実際に蒸気を使った
実習を交えて学べ、技術計算ツールを使った演習も行います。
来月は10/12(金)に、以下2会場で開催します。
【会 場】加古川会場(兵庫県加古川市のTLV本社工場)
東京会場 (千葉県市川市のTLV東京CESセンター)
来月分にはまだ残席もございます。ご希望の方はお早めにお申込ください。
▼セミナーの詳細・お申込はこちら
http://www.tlv.com/ja/seminar/s-a3-r.html
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■【新製品】ドレン出口の低い空調設備用メカニカルポンプ
┃ ~ 容量が大きくコンパクトな新パワートラップ GP10M/GT10M登場
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電気を使用せず、蒸気や空気の圧力で作動し、空調設備(外調機)のドレン
回収や、ウォーターハンマーなどの原因となるドレン滞留対策に広く使用され
ているメカニカルポンプ、パワートラップGP/GTシリーズ。
この新モデルとしてGP10M/GT10Mが登場しました。
GPシリーズはポンプ機能のみで、GTシリーズはスチームトラップ内蔵型です。
GP10M/GT10Mは以下の特長を備えています。
- コンパクトながら最大圧送量2.4t/hまで高めました
- 必要なドレン落とし込み高さを300mmまで圧縮し、
ドレン出口の低い空調設備にも対応しました
▼ 容量が大きくコンパクト
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従来のパワートラップは大型のGP10/GT10、中型のGP10L/GT10L、小型のGT5C
の構成でしたが、新型として中容量のGP10M/GT10Mが加わりました。
本体のサイズや設置スペースはGP10L/GT10Lとほぼ同じでありながら、最大
圧送量を2.4t/h(GP10Mの場合)まで高めています。
GP10/GT10 : 最大圧送量 7t/h
GP10M/GT10M: 最大圧送量 2.4t/h <---新たに加わりました!
GP10L/GT10L: 最大圧送量 1.5t/h
GT5C : 最大圧送量 150kg/h
▼ ドレン落とし込み高さを300mmまで圧縮
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従来のドレン落とし込み高さはGP10L/GT10Lで最低450mmでしたが、新型逆止弁
の採用により、必要なドレン落とし込み高さを床面から300mmまで圧縮したた
め、ドレン出口の低い装置にも対応可能となりました。
300mmという高さは、フリーフロート・スチームトラップで言うと、J7.5X型
の配管取り合い部の高さ307mmとほぼ同等です。
つまり、大型のスチームトラップを設置できるスペースがあれば、多くの場合
問題なくパワートラップも設置できることになります。
この300mmのドレン落とし込み高さはGP10M/GT10Mのほか、従来からある
GP10L/GT10Lでもお選びいただけるようになりました。
▼ これまで設置を諦めていた空調設備にも
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パワートラップは電気を使用せず、蒸気や空気の圧力で作動するため、
施工時に電気工事が不要で省電力対策としても有効です。
更に、容量が大きくコンパクト、落とし込み高さ300mmのGP10M/GT10Mなら、
設置や設計の自由度が高まります。
空調設備には蒸気コイルを使用するタイプも多く、中でも外調機や再熱用
コイルなどは設計能力に対してかなり小さな負荷で運転される場面が少なく
ありません。
このような運転条件では、蒸気コイル内にドレンが滞留しやすく、
滞留ドレンはウォーターハンマー音の発生、コイルのパンク、腐食など
深刻な問題の原因となることがあります。
ドレン滞留問題の解消には、スチームトラップに代えてGTシリーズのパワー
トラップを設置することが有効です。
通常のスチームトラップと同様の位置関係に設置できるパワートラップなら
手軽にトラブルを回避できます。
------>>パワートラップ GP10M/GT10Mの詳細はこちら↓
http://www.tlv.com/product_v2/newproducts/newproduct.html
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┃(彡(彡)彡)【連載】もっと知りたい蒸気のお話
┃ (彡(彡) ~ 蒸気輸送配管の口径 ~
┗━(彡)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━第94話━━
▼ 蒸気輸送配管を設計するために
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配管を設計するには、以下のような様々な項目を決定する必要があります。
- 管の太さ(口径)の選定
- どこを通すかという経路の決定
- 熱応力も考慮しての支持点や伸縮量吸収方法の決定
- 適正な断熱保温
- 効果的なドレン抜き箇所の決定、など
その中でも最重要項目の一つである口径の選定について考えてみます。
▼ 蒸気流量が分かれば口径を選定できる?
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管の太さはどのようにして決めたら良いでしょうか。
細い管より太い管の方がより多くの流量を流すことができる、つまり
「蒸気送気量が多ければ太い管が必要、送気量が少なければ細い管で十分」
これは直感的に理解できます。
では、例えば蒸気流量1000kg/hに対して適正な管径はいくらでしょうか?
残念ながら、1000kg/hという値だけでは判断できず、別の基準にも照らして
評価しなければなりません。
その基準になるのが管内流速です。
管内を流れる蒸気の質量流量は次の式で計算できます。
質量流量[kg/h] = 管断面積[m2]×流速[m/h]×比重量[kg/m3]
同じ蒸気流量でも圧力が低ければ蒸気の比重量が小さくなるため、同じ管に
同じ流量を流した場合、管内流速が速くなることがわかります。
では、基準となる管内流速は何を持って判断すれば良いのでしょうか。
▼ 適正な流速「慣用流速」
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適正な流速とは、その流速で流した時のメリット・デメリットのバランス、
言い換えればイニシャルコストとリスクのバランスが取れているポイント
と言え、「慣用流速」として知られています。
飽和蒸気の場合、慣用流速は30m/sec.程度と言われています。
化学便覧などには圧力や用途、部位、管のグレードなどに応じて20m/sec.から
40m/sec.の範囲でやや細かく示されているようです。
流速を速くしていくと増大するメリットとは、管径を小さくできることです。
管径を小さくできればイニシャルコストを抑えられます。
逆に、流速を速くしていくと増大するデメリットとは、圧力損失、騒音、
エロージョンやウォーターハンマーのリスクなどです。
▼ 最終決定前に圧力損失値を確認
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このように慣用流速を基準に口径選定をすることで、イニシャルコストと
リスクのバランスが取れた管径を定めることができます。
但し、まだこれで口径を最終決定できる訳ではありません。
最終決定の前にもう一点確認しなければならないことがあります。
それは圧力損失値です。
圧力損失は配管距離に比例します。適正な流速であっても管が長ければ長い
ほど末端での圧力損失は大きくなるため、遠方まで送気する場合は末端で必要
な蒸気圧力が得られるかどうかをシミュレーションしなければなりません。
圧力損失が大きいから、距離を短くして途中までで我慢する・・・と言う訳
にはいきません。必要な所まで蒸気を送気しなければなりません。
圧力損失の結果、末端で必要な圧力を得られない場合は、配管径を大きくする
検討が必要です。
------>>ホームページでは図を用いて分かりやすく説明しています
http://www.tlv.com/ja/steam_story/1209haikan_koukei.html
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★ トピックス
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☆9月11日に福岡で蒸気の入門&実践の出張セミナーを開催しました。
(会場:三菱化学株式会社 黒崎事業所様)
多数ご参加いただきありがとうございました。
http://www.tlv.com/ja/seminar/s-s1-reports.html
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★ 編集後記
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9月28日で政府による節電要請期間が終わります。
この夏、当社でも節電に関連する製品の問合せが増えました。
特に多かったのが、スクリュ式小型蒸気発電機 MSEGへのお問合せです。
http://www.tlv.com/ja/catalog/news54j.html
産廃焼却炉で発生する熱を利用し発電したい、廃熱回収設備用に使いたい、
バイオマス燃料を使ったボイラーで蒸気を発生させる「バイオマス発電」に
利用したい、など様々な内容でした。
導入にあたっては、電力として回収できる金額的メリットと必要な投資金額、
CO2削減量などを予測して判断しなければなりません。
そのシミュレーションを行うチェックシートもありますので、
https://www.tlv.com/ja/contactform/contactj_form.php?id=H103
ご興味がおありの方は是非一度お問合せください。
来月のメールマガジンは10月30日頃配信予定です。
どうぞお楽しみに♪
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☆リンク先をご覧いただけない環境の方には、同内容の資料をお送りして
おります。ご希望の資料を明記の上、ccc@tlv.comまでご連絡下さい。
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