TLV蒸気と省エネメールマガジン
2013/03/26 Vol.115
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■■■ TLVメールマガジン Vol.115
■ ~ 蒸気を通して省エネ・環境を考える ~
■ 2013年3月26日 株式会社テイエルブイ http://www.tlv.com/
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もうすぐ4月ですね。新年度になると部署を異動されたり、業務が変わると
いう方もおられるのではないでしょうか。
異動等に伴ないメールアドレスを変更される方は、大変お手数ですが
以下からアドレス変更のご連絡をいただけますようお願い致します。
https://www.tlv.com/ja/contactform/contactj_form.php?id=S003
さて、今月はTLV製品の中でも人気の高いヒット商品、逆止弁CK3シリーズ
をご紹介します。
「逆止弁をどうやって選定すればいいですか?」
「○○の流体で使いたいのですが」
「塩ビ配管にも設置できますか?」
など、記事には普段お問合せいただくことの多い内容を盛り込んでいます。
これを読めば、逆止弁に対して抱いていた疑問が解消するかも?
また、今回で記念すべき100話目を迎える連載記事『もっと知りたい蒸気の
お話』では、「ウォーターハンマー発生のメカニズム」をお届けします。
実は、10年前の第1話も同じウォーターハンマーに関する記事だったのです
が、今回は内容を最新化した改訂版です。
では、今月のメールマガジンをご覧ください。
▼ INDEX ▼
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■□【ヒット商品】
選定する際のポイントはシール部の材質!
~ 省スペースで取り付け方向自在 漏れない逆止弁CK3シリーズ ~
■□【連 載】
もっと知りたい蒸気のお話 第100話
~ ウォーターハンマー1(発生のメカニズム) ~
★ トピックス
★ TLVサイト会員ページ・ダウンロードデータ更新情報
★ 編集後記(10年100話)
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■【ヒット商品】選定する際のポイントはシール部の材質!
┃ ~ 省スペースで取り付け方向自在 漏れない逆止弁CK3シリーズ ~
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▼ 逆止弁の用途
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逆止弁(チェックバルブ、チャッキ弁)は複数の流体を合流させる際、
他の流体が混ざらないようにそれぞれのラインに取り付ける用途や、
流した流体自体が逆流するのを防止する用途で使用されます。
例えば、水と蒸気を混合するラインに逆止弁を設置していないと、水配管内に
蒸気が侵入しウォーターハンマーが発生することがあります。
また、ポンプの吐出側に逆止弁を設置していないと、ポンプ停止時にせっかく
圧送した揚液が戻ってきてしまいます。
TLVの逆止弁CK3シリーズは、ディスク弁とスプリングを組み合わせた
「スプリングディスク式」の採用により、
0.002MPaという微差圧で開閉
高いシール性を発揮して漏らさない
という2つの特長を同時に実現しています。
▼ ユニークで便利な特長
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CK3シリーズには、更に以下のようなユニークな特長があり、様々な用途で
多くのお客様にご利用いただいています。
- 縦・横・上下の方向を問わず取り付けOK
縦配管の上から下への流れにも対応
- フランジ接続用は省スペースなウェハータイプ
- 最高使用圧力はねじ込みタイプ2.1MPaG、ウェハータイプ3.0MPaGまで対応
- 目的に合わせて、シール部の材質を金属/ゴム/フッ素樹脂から選択
(但し、型式によって選べる材質は異なります)
- 耐久性の高いオールステンレス製機種もラインアップ
(純水用途の実績もあります ご相談ください)
ねじ込み接続タイプは管用テーパーねじ加工です。塩ビ配管にも市販の金属
おねじ付きバルブ用ソケットと組み合わせることで接続可能です。
フランジ接続タイプは逆止弁本体側にフランジ板を持たないウェハー(フラン
ジレス)タイプです。管側の入/出口のフランジ接合面にガスケットを入れ、
フランジ間を長いボルトで固定するだけなので、設置に必要な配管距離が
短くて済みます。
▼ シール性の違いはシール部材質の違い
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逆止弁を選定する際の重要なポイントに「いかに漏れないか」というシール性
があります。このシール性能や、対応する温度を決めるのがシール部(弁体・
弁座)の材質です。
◇シール性で選ぶなら ・・・CK3(F)R/RG(Rタイプ)
シール部の一部にゴム部品を使用しているソフトシートタイプで、優れた
シール性を発揮します。逆圧が0.05MPa以上かかる条件では初期性能として
漏れがゼロになります。その反面、使用可能な温度は低めです。
【よく使われる用途】:様々な用途で広く使用されています。船舶のバルブ
操作用圧縮空気のラインなどにも使用されます。
◇高温で使用するなら ・・・CK3(F)M/MG(Mタイプ)
シール部が全て金属のメタルシートタイプなので、高温で使用することができ
ます。最も高温で使える機種は350℃まで対応します。
その反面、シール性能はRタイプよりも劣り、漏れはゼロにはなりません。
【よく使われる用途】:スチームトラップの二次側など設置されます。
◇高温にも対応してシール性が高い中間タイプ ・・・CK3T(Tタイプ)
シール部にフッ素樹脂製部品を使用しており、他2つのタイプの中間の特徴を
持っています。つまり、最高使用温度はRタイプよりも高い185℃で、シール
性能はRタイプには劣りますが、Mタイプよりも優れています。
【よく使われる用途】:蒸気と水が直接混合するミキシングバルブなどに
使用されます。
このように、材質によってシール性と最高使用温度が異なりますので、
用途に合わせてお選びください。
▼ 流体ごとの使い分け
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CK3/CKF3シリーズは使用可能流体が下記のように分けられています。
- Rタイプ ・・・ 温水、水、空気
- Tタイプ ・・・蒸気、温水
- Mタイプ ・・・蒸気、温水、水
これらは参考用の区分であって厳密なものではありません。
これらの区分もシール部の材質の違いによって分けられたものであり、それ
以外の大部分の部品は各タイプ共通で、構造や機構も全く同じです。
この区分に当てはまらなくても、圧力や温度の条件を満たしていて、シール
性能に関しても問題が無ければ、どの流体でもご使用いただけます。
CK3シリーズは流体の逆流防止のほか、真空破壊用途でも多く採用いただいて
います。各種排水ラインや反応釜、ドレン回収管など、様々なアプリケー
ションで実績があります。
------>>逆止弁CK3シリーズの詳細・具体的な使用例はこちら↓
http://www.tlv.com/ja/catalog/news26j.html
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┃(彡(彡)彡)【連載】もっと知りたい蒸気のお話
┃ (彡(彡) ~ ウォーターハンマー1(発生のメカニズム) ~
┗━(彡)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━第100話━━
もっと知りたい蒸気のお話は、今回の連載で第100話を迎えました。
2003年の第1話以来、読者の皆様に支えられてここまで続けることができまし
た。改めて御礼を申し上げます。ありがとうございます!
記念すべき100話目では、第1話と同じ「ウォーターハンマー」を取り上げま
す。内容を大幅に強化した最新版の記事でも、皆様からのお問い合わせを多く
いただきます。
▼ ウォーターハンマー(スチームハンマー)とは?
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水道の蛇口を急に開閉すると「カン!」という音がします。
これは水配管系でのウォーターハンマーで、工場などではポンプの起動・停止
やエアベントの急閉止などで発生します。
水配管系とは別に、蒸気・還水管系でもウォーターハンマーは発生します。
蒸気やドレンによって発生するウォーターハンマーを海外ではスチームハン
マーとも呼んでいます。今回は、この「蒸気・還水管系のウォーターハン
マー」に焦点を当ててお話しします。
▼ ウォーターハンマー(スチームハンマー)は非常に危険!
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蒸気配管や蒸気使用設備に蒸気を通気し始める時、「カン、カン・・・」と
いう金属音や、時には「ドーン」という激しい衝撃音と振動が発生すること
があります。皆さんもご経験があるのではないでしょうか。
ウォーターハンマーが発生すると、その配管内では瞬時的に10MPa以上もの
急激な圧力変化が起こることがあります。
この衝撃によって配管や装置、建屋の大きな揺れが生じ、接合部のガスケット
だけでなく、ときにはバルブそのものやフランジが破壊されます。
万一、バルブ等が破壊されると一気に大量の蒸気や高温ドレンが噴出し、大き
な事故になる危険性があります。海外では、ウォーターハンマーが原因と見ら
れる死亡事故も報告されています。
このように危険なウォーターハンマーですが、その発生原因・対策についての
研究や文献が非常に少なく、多くの方が対応に苦慮されているのが実情です。
▼ ウォーターハンマー(スチームハンマー)の発生原因
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ウォーターハンマーは文字通り、“ウォーター”つまり水の塊が配管等に衝突
したり、塊同士が衝突して、あたかも“ハンマー”のように大きな衝撃を与え
る現象です。
では、なぜ水が配管等に大きな衝撃を与えるのでしょうか?
蒸気・還水管系のウォーターハンマー発生のメカニズムには、主に以下の2つ
のパターンがあると考えられています。
- 配管内のドレンが衝突して起こるウォーターハンマー
- 蒸気が急激に凝縮しドレン同士が衝突して起こるウォーターハンマー
1.配管内のドレンが衝突して起こるウォーターハンマー
蒸気を輸送する配管では放熱によりドレンが発生します。蒸気が高速で配管内
を流れると、滞留していたドレンは蒸気の流れに押されて、次第に塊を作り
移動を始めます。これは台風の際に発生する高波に近いと言えます。
このドレンの塊が蒸気の流れによって高速で配管の中を移動し、配管の曲がり
部分や配管途中のバルブに衝突してウォーターハンマーが発生します。
2.蒸気が急激に凝縮しドレン同士が衝突して起こるウォーターハンマー
蒸気は放熱するとドレン化します。蒸気とドレンの比体積差は1000倍以上も
ありますが、蒸気は冷たいドレンに触れると一気に凝縮して蒸気体積がほぼ
ゼロになります。
この凝縮過程で蒸気が存在していた空間は一時的に真空状態になり、この真空
部に向かって配管内のドレンが押し寄せ、ドレン同士が衝突することによって
ウォーターハンマーが発生します。
つまり、冷たいドレンと蒸気が混在する環境が危険といえますが、還水管など
はむしろそのような環境が通常であり、対策が難しいのもこのパターンの特徴
です。蒸気輸送管や蒸気使用装置内でも凝縮によるウォーターハンマーは発生
します。
どちらのパターンでも強大な衝撃が発生しますが、発生頻度は圧倒的に2つめ
の凝縮パターンによるものが多いと考えられます。
▼ 冷たいドレンの方がハンマーの衝撃は大きい?
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当社で実施した実験から意外な事実が判明しました。
これまで、ドレン温度が低いほど大きなウォーターハンマーが発生するという
見方がありましたが、冷たいドレンよりも、蒸気温度から少し低い温度のド
レンで起こるウォーターハンマーの方が衝撃が大きいという実験結果が得られ
たのです。
具体的には、100℃の蒸気に対し、50~60℃のドレンで発生するハンマーより
70~80℃のドレンで発生するウォーターハンマーの方が、規模が大きく衝撃も
強大でした。
実は、ウォーターハンマーの衝撃をシミュレートする計算式には、凝縮する
蒸気の体積(=これを蒸気塊と呼びます)が大きく関係します。
これは次のように考えることができます。
- 蒸気が冷たいドレンと接触すると、すぐに凝縮してしまいます。
小さい気泡の段階で凝縮するので「蒸気塊」は成長できません。
また一方で、
- 同じ温度のドレンと接触しても蒸気はすぐには凝縮しないので、
ウォーターハンマーは発生しません。
これは、スチームトラップの出口には飽和ドレンと同じ温度のフラッシュ蒸気
が混在しますが、ウォーターハンマーが起きないことからも説明できます。
厄介なのは、このいずれでもない条件です。すぐには凝縮しないにもかかわら
ず、何かのきっかけで凝縮を始める温度のドレンです。
70~80℃という温度はウォーターハンマーの威力に影響する「蒸気塊」を成長
させ、ある時突然に急凝縮させる危険なドレン温度だったのです。
------>>ウォーターハンマー発生のメカニズムは以下で図解しています↓
http://www.tlv.com/ja/steam_story/0902water_hammer1.html
※参考※ ウォーターハンマーの対策方法については以下をご参照ください
ウォーターハンマー対策その1
http://www.tlv.com/ja/steam_story/0903water_hammer2.html
ウォーターハンマー対策その2
http://www.tlv.com/ja/steam_story/0904water_hammer3.html
ウォーターハンマー対策その3
http://www.tlv.com/ja/steam_story/0905water_hammer4.html
☆今月の蒸気のお話はいかがでしたか?
参考になった/ならなかった、今後こんな内容を取り上げて欲しいなど、
皆様のご感想をお待ちしております!
https://www.tlv.com/ja/enquete/enquete_form.php?id=S001&ss_topic=54
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★ トピックス
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☆グループ会社TTS(ティティエス)のホームページをリニューアルしまし
た。設備の点検・診断、メンテナンスに関する技術情報を掲載しています。
http://www.tts-inspection.com/ja/index.html
☆バルブ部にピストンバルブを採用した鍛鋼製ボディーのマニフォールド
M4PシリーズとトラップステーションV1Pシリーズを新発売しました。
http://www.tlv.com/product_v2/newproducts/newproduct.html
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★ TLVサイト会員ページ・ダウンロードデータ更新情報
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TLVサイト会員ページで公開しているCADデータ(外観図)、取扱説明書の
更新情報をお知らせ致します。
☆取扱説明書(和文・英文)を新規公開しました
V1P-RL/V1P-RB/V1P-RW/V1P-RV/V1P-LB/V1P-LW/V1P-LV
M4P/M8P/M12P
☆取扱説明書(英文)を新規公開しました
SS5P/SS5EP
☆取扱説明書(和文・英文)を修正しました
DR20
M4/M8/M12
☆取扱説明書(和文)を修正しました
TM5N
COS-3/COS-16/COS-21
☆取扱説明書(英文)を修正しました
LV6-CE/LV6-SF/LV6-P/LV6-EP
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ロードができます。会員登録・ご利用は無料です。ログインはこちら↓
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★ 編集後記
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最後までお読みいただきありがとうございます。
今年は、寒波の影響で梅は開花が遅れたところが多いようですが、桜の開花は
早まっているようですね。散り際の梅と咲き始めの桜をほぼ同時に見られて、
この春は大いに得をした気分です。
本文中でもお伝えしましたが、早いものでTLVメールマガジン草創期からの
連載記事『もっと知りたい蒸気のお話』が第100話を迎えました。
途中、改訂記事などもあるため、全ての記事を数えると100話ではなく90話
程度となりますが、ほぼ毎月1話ずつ制作していった記事が100回を数えると
思うと感慨深いものがあります。
中には読者の方からのご意見を参考に制作した話もあり、まさに読者と共に
積み重ねた100回でした。
今後もご意見、ご感想などお待ちしております。
是非ご一緒に、次の第200話を目指しましょう!
※蒸気のお話ご感想フォーム
https://www.tlv.com/ja/enquete/enquete_form.php?id=S001&ss_topic=54
※ご意見・お問合せフォーム
https://www.tlv.com/ja/contactform/contactj_form.php?id=M099
来月のメールマガジンは4月23日頃配信予定です。
どうぞお楽しみに♪
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