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TLV・TTS保全と検査メールマガジン

2012/08/21 Vol.08

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□□□  TLV・TTSメールマガジン Vol.08
□ ~ 保全と検査に革新を ~ 2012年08月21日
株式会社テイエルブイ http://www.tlv.com/ 
有限会社ティティエス http://www.tts-inspection.com/
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連日猛暑が続き、現場の診断・作業にはつらい季節ですね。
皆様、暑さ対策を万全に、熱中症にはくれぐれもお気を付けください。

さて、昨年6月発行のメールマガジンでもご紹介した、耐火材や保温・保冷材
をはがさずに肉厚測定ができる、パルス渦流探傷検査 PEC(ペック)。

今回は、非接触で測定できるPECの利点を生かした新しい診断事例を2つ
ご紹介します。

1つ目はトッパー(常圧蒸留装置)配管の腐食率モニタリングによって、
腐食率低減に加え、数千万円規模のメンテナンス費用削減に成功した
石油精製工場の事例です。

2つ目は塩害で漏れ事故を起こした冷却水配管で腐食スクリーニング検査を
実施した事例です。さびや塗膜を除去するケレン不要、足場の設置不要で、
安全性を確保し検査費用も抑えされました。

これらの事例が皆様の日頃の業務のヒントになれば幸いです。


▽ INDEX ▽
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□■【診断事例】
   配管腐食を低減、メンテナンス費用を数千万円規模で削減
  ~ 石油精製工場のPECによる腐食率モニタリング検査事例 ~

□■【診断事例】
   さびスケールのケレン不要な配管スクリーニングで事故防止
  ~ PECによる冷却水配管の腐食スクリーニング検査事例 ~


☆ 編集後記(診断とカラス)

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□【診断事例】配管腐食を低減、メンテナンス費用を数千万円規模で削減
┃ ~ 石油精製工場のPECによる腐食率モニタリング検査事例 ~
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▽ 配管の腐食に悩まされていた石油精製工場
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ある石油精製工場では、トッパーのオーバーヘッド配管で配管の内面腐食
による減肉に悩まされていました。

この対策として、従来は、定期修理(SDM)時に対象配管の各部位の肉厚を
測定し、その結果から数年ごとにエリア内の配管を更新する計画を立てて
対応していました。

ところが、ある年の測定で、過去の検査結果から想定されるより激しい腐食
の進行が確認されました。

そこで、運転条件と配管の腐食率の間にどのような因果関係があるのかを究明
することになりました。


▽ 外部要因の影響を板厚±0.2%の精度でモニタリング
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PECは、非常に高い繰返し精度(板厚の±0.2%)を持ち、常時モニタリングを
行わなくても板厚の微少な変化から腐食率を算出することができるため、本件
調査の検査技術として採用されました。

測定対象箇所は、従来の肉厚測定により減肉の進行が確認されたエルボや
チーズ、レデューサー周辺を中心に25箇所とし、2週間に1回、約半年間に
わたってPECによる測定を実施しました。

測定期間中は、注入する薬剤の種類や量を変更したり、洗浄水量を変更したり
しながら、それらが配管の腐食率にどのような変化を与えているか調査しまし
た。


▽ 腐食率を低減、メンテナンス費用を数千万円規模で削減
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
調査の結果、次のことが明らかになりました。

 1)薬剤の種類や量を変化させても、腐食率に大きな変化は見られなかっ
   た。

 2)洗浄水の注入量を変化させることにより、腐食率に変化が生じた。

 3)過去の経験から、洗浄水の量はこの程度が適切だろうという定性的な
   ものはあったが、PECで実際の腐食率の変化が確認でき、腐食の進行を
   最低限に抑えるのに最適な洗浄水量を明確にできた。

 4)場所により、ほとんど腐食が進行していない箇所が特定できた。


これらに基づき最適な運転条件で稼働したところ、改善後の25箇所の腐食率は

平均0.38mm/年(最大0.91mm/年)から
平均0.07mm/年(最大0.22mm/年)へ、大幅に低減できました。

配管の更新についても、定期修理時にエリア単位で交換する広範囲な更新計画
から、実際に腐食が進行している部分のみを交換する、実態に即した保全へと
改善でき、数千万円規模で費用を低減することができました。

実際に管理されているご担当者様からは、
「PECで腐食の実態を掴んでいるので安心して管理できる」
とのご感想をいただいています。


------>>石油精製工場のPEC事例を画像やデータ付きで解説しています↓
http://www.tts-inspection.com/tts_j/pec05.html

※PEC検査技術の詳細はこちら↓
http://www.tts-inspection.com/tts_j/pec01.html


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□【診断事例】さびスケールのケレン不要な配管スクリーニングで事故防止
┃ ~ PECによる冷却水配管の腐食スクリーニング検査事例 ~
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▽ 塩害によりさびた冷却水配管で事故
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ある工場で、重要な冷却水配管が漏れるという事故が発生しました。
その配管は海岸沿いに設置されているため、潮風の影響(塩害)により外面
腐食が進行し、広範囲(数百m)にわたりさびスケールが散在している状況
でした。

漏れ事故を受け、冷却水配管全体の腐食検査が計画されましたが、実施の
ためにクリアしなければならないハードルがあることが判明しました。

そのハードルとは、

 1)従来技術では検査のためにさびスケールをケレンすることが必要だが、
   ケレンにより、腐食箇所が貫通し漏れを発生させてしまう恐れがある。

 2)配管径が大きいため、放射線検査が適用できない。

 3)配管の延長距離が数百mと長いため、膨大な足場施工費用が必要。


▽ さびケレン不要、足場不要の腐食検査
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ケレンが不要な技術として、ガイド波検査の適用も検討されましたが、
腐食箇所が多く、また本件では、減肉の程度を定量化する必要もあったため、
ガイド波よりもPECによる検査が適していると判断されました。

PECが適用された理由は、以下の通りです。

 1)さびスケールの上から残存肉厚の検査ができるためケレン不要

 2)表面から肉厚方向へ探傷するため、配管径の制約なく検査可能

 3)延長プローブを使用することにより、足場不要でラック上の架空配管
   の検査ができる。

測定は、トータル距離約600mの配管で、目視で確認された240の外面腐食エリ
アに対し、約1300点の計測が実施されました。

測定にあたっては、さびスケールのケレンが不要で、検査の際配管に穴が
開いて漏れる心配が無いので、作業が安全に進められました。
また、足場の設置が不要で、検査費用も抑えられました。


▽ 配管全体のコンディションを把握し保全計画立案へ
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測定の結果、ある特定の区間に腐食の激しい箇所が集中していることが確認
されました。

PECの実施前は、外面のさびの状態だけでは各配管の実際の減肉状態が
全く分からず、いっそ大きな予算を組んで全面更新すべきなのか否か、
保全計画も立てられないような状況でした。

しかし、スクリーニングにより、配管全体のコンディションが把握できた
ため、方向性が明確となり保全計画が具体化。
今回の計測によって得られたデータを基に、しきい値などの判断基準が策定
できる見込みで、今後的確に保全計画を立案するための議論が始まりました。

非接触で測定できるPECには、様々な活用方法があります。
このような用途にPECは使えないの?というお問い合わせは大歓迎ですので、
是非お気軽にお尋ねください。


------>>冷却水配管のPEC事例を動画を用いて詳しく解説しています↓
http://www.tts-inspection.com/tts_j/pec06.html

※PEC検査技術の詳細はこちら↓
http://www.tts-inspection.com/tts_j/pec01.html


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☆ 編集後記
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最後までお読みいただきありがとうございます。

トッパーの記事と同様、PECの腐食率モニタリングを実施していただいている
工場で、TTSの診断員が見た出来事をご紹介します。


毎月一度、PECの測定のために訪問しているその工場で、測定ポイントから
見える高所にカラスが巣を作ったそうです。

毎月の訪問のたびに目に入り、カラスが巣を作り始めるところ、
卵からひながかえったところ、育ったひなが飛び立つところなど、
巣作りから巣立ちまでを見守ることとなりました。

ひな達が巣立った後、残された巣は撤去されましたが、
驚いたのはその巣の造りについてです。


それは、木の枝、針金、布等の材料を使って器用に組み上げられており、
持ち上げただけでは簡単に崩れないよう頑丈に作られていました。
“鳥の巣”と言うよりは、まるで人工的に作られた“構造物”と
呼べるような立派な物だったそうです。

誰から教わることなく、自然に身についた技術を駆使して物を作る。
「カラスって本当に賢い生き物だね」と彼はしみじみ語っていました。


工場での診断作業にも、時にはそんな動物との触れ合いがあるんですね。

次回の『保全と検査』メールマガジンは、10月10日(水)頃配信の予定です。
どうぞお楽しみに。


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☆リンク先をご覧いただけない環境の方には、同内容の資料をお送りして
おります。ご希望の資料を明記の上、ccc@tlv.comまでご連絡下さい。
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