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TLV・TTS保全と検査メールマガジン

2013/09/10 Vol.12

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□□□  TLV・TTSメールマガジン Vol.12
□ ~ 保全と検査に革新を ~ 2013年9月10日
株式会社テイエルブイ http://www.tlv.com/ 
有限会社ティティエス http://www.tts-inspection.com/
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今週は東京オリンピック決定という明るいニュースで幕が開けました。
中には、前回の東京開催を覚えている方もいらっしゃるかもしれません。
当時と現在の状況を比べると、感慨もひとしおなのではないでしょうか。
2020年の開催が今から楽しみですね。

今号には、スペースシャトルにも利用されている先端技術を使った計測技法
が登場します。

計測するのは、フィルムや金属箔などの生産に使用されている、ロール設備
の平行度です。平行度が悪いと製品が蛇行し、シワや破れなどの製品不良や
機器の寿命短縮に繋がります。

ロール設備の平行度を効率良く改善して、品質向上、生産性向上、メンテ
ナンスコストの削減を実現する方法や、具体的な事例をご紹介します。

それでは、メールマガジンをご覧ください。


▽ INDEX ▽
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□■【連 載】
  コストダウンに繋がるメンテナンス<その26>
  製品のシワ、破れなどを防ぐ鍵はスペースシャトルの技術
 ~ ロール設備全体の平行度調整 ~

□■【事例1】
  金属箔の絞り(シワ)が取れて大幅コスト削減も実現
 ~ シワの発生原因は別フロアのロール ~

□■【事例2】
  アルミ箔の品質向上に加えメンテナンス周期が伸びて運転時間を延長
 ~ 平行度改善で金属ロールに変更しメンテナンス周期を大幅延長 ~

☆ 編集後記(ヨーロッパの診断器メーカー訪問)

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□【連 載】コストダウンに繋がるメンテナンス <その26>
┃ 製品のシワ、破れなどを防ぐ鍵はスペースシャトルの技術
┃ ~ ロール設備全体の平行度調整 ~
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▽ ロール設備の製品不良率が悪化?
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フィルム・不織布・金属箔・薄板などのシート状製品や、化学繊維・金属線な
ど糸状製品を連続して生産する設備の多くにロール設備が使用されています。

ロールとは回転体を使用する設備で、伸ばす、拡げる、厚みを変える、
熱や圧力を加える、型押しする、プリントする、テンションを掛ける、
方向を変える・・・など、様々な役割を果たします。

このロール設備で、近年「シワ」「絞り」「破れ」「ムラ」などの製品不良が
発生しやすくなっていることをご存知ですか?


ロール設備の大型化・高速化・精密化が進んだ結果、設備据え付けや調整に
高い精度が求められるようになってきました。また、製品自体の高機能化で
製造工程は繊細なものとなり、ロール設備のわずかな据え付けミスも品質に
重大な影響を与えてしまいます。

例えばロールの平行度が悪いと、製品が蛇行することがあります。

製品の蛇行は、シワや絞り・破れの発生、厚みのムラの発生など品質不良の
原因となります。

また、製品が正しく流れないと、ロールなどの機器に想定外の力が加わって
消耗が進んだり、振動が激しくなるなどして設備の寿命短縮にも繋がります。


▽ ロール設備の平行度調整のメリット
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こういった経験から、多くの工場では品質不良を最小限に抑えようと、
多大な労力と時間をかけてロール設備のメンテナンスを行っています。

もちろん、ロールの平行度を完全にするだけで、これらの問題が全て解決
できるとは限りません。

しかし、平行度をチェックし修正した結果、品質が大きく改善された事例や、
ロールの傷みが減り、メンテナンス周期を大幅に延長できてコストダウンが
図れた事例も数多く見られます。

更に、ロールの精度が向上することでラインの走行速度をアップさせること
ができれば、生産性向上も期待できます。

このようにロール設備の平行度調整は、

 - 製品品質の向上(歩留まりの向上)
 - 生産性の向上
 - メンテナンスコストのダウン

などに有効です。


▽ ロール平行度を設備全体で見る
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従来の計測技術では、設備全体としてロールそれぞれの関係を精密に把握する
ことは大変困難でした。

生産中に蛇行や品質問題が発生すると、通常その現象が発生した周辺数本の
ロール平行度を測定し、調整することで対処します。

調整といっても、平行度の測定結果を基に修正するのではなく、生産物の流れ
を見ながら現場合わせがされることもしばしばです。

このような方法で長年使用されてきた設備では、設備全体のロール平行度は
バラバラなはずですが、各ロール間で平行度の絶妙なバランスが取れている
ことで品質が維持され、生産が保たれている場合があります。

しかし、一度問題が発生すると原因箇所の特定も難しく、経験と勘を頼りに
更なる現場合わせの調整を試みても、上手くいかず泥沼にはまりこんでしまう
という話をお聞きします。


▽ ロール平行度を効率良く調整するには
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このような泥沼を避け、的確に効率良く調整するには以下が効果的です。

 - 問題箇所だけでなく、設備全体の据え付け状況を精度良く測定し、
   その結果に基づいて全体のロール平行度を調整し正常な状態にする

 - 現状問題が無くても、運転が上手くいっている状況を設備全体として
   あらかじめ定量的に把握しておく

一見手間がかかるように見えても「急がば回れ」の言葉通り、問題が発生した
際には問題箇所が素早く特定でき、トータルでのメンテナンスコストダウン
にも繋がります。


▽ スペースシャトルの技術を応用
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TTSが提供するパララインによるロール平行度計測では、スペースシャトルな
ど宇宙・航空工学で利用されている、リングレーザージャイロ(方位測定器)
を使用します。

リングレーザージャイロとは、サニャック効果を利用したものです。

光路中を進む光の速度が光路の運動に関係なく一定であることから、光路
(この場合ジャイロ)が動くことによって、検出器までの光路の長さが
変わったかのように見え、その結果、光の到達時間にズレが発生し、
干渉が生じる現象を利用しています。

宇宙空間での位置を把握するためスペースシャトルに搭載されたこのリング
レーザージャイロを、パララインは3次元軸に1つずつ搭載しています。

これにより、ロールの置かれている環境や位置に関わらず、全てのロールの
平行度を基準ロールに対し、同じ精度(±5/100mm)で計測することができ、
しかも、この高精度計測を非常に短時間で実施できることが魅力です。

※パララインの詳細はこちら↓
http://www.tts-inspection.com/ja/inspection/roll_parallel01.html


---->>『ロール設備全体の平行度調整』の画像付き説明はこちら↓
http://www.tts-inspection.com/ja/maintenance/1309maintenance_26j.html


以下では、実際にパララインによりロール設備全体の平行度を調整することで
コストダウンが図れた2つの事例をご紹介します。


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┃【事例1】シワの発生原因は別フロアのロール
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▽ 金属箔の絞り(シワ)が取れない
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金属箔を生産しているお客様のロール設備で、絞り(シワ)が発生していま
した。発生箇所は工程の最後の部分にあたる巻き取りの部分です。

現場では、対策として問題が発生している巻き取りロール手前の数本のロール
の平行度を計測し、ズレの修正を実施しました。

精度を上げて平行度の計測を行うと、対象が数本であっても非常に時間が
かかり、作業は1日がかりになります。

それでも絞りを完全になくすまでには至らず、問題を残した状態で運転する
ことになってしまいました。


▽ 2階のロールが影響?
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その工程は、1階と2階の2フロアを使用する長い工程で、ロール設備も両方の
階にあります。問題が発生している巻き取りロールは1階に位置しています。

対策を検討する中で2階のロールが影響している可能性が排除できないという
意見も出ました。しかし、1階のロールに対する2階のロールのズレを正確に
把握する方法が分かりませんでした。

TTSに測定の依頼をいただき、ロール平行度計測サービスによって設備全体、
つまり1階、2階全てのロール平行度を計測しました。

その結果、巻き取りロール手前の平行度は問題ありませんでしたが、2階の
ロールが1階のロールに対して大幅にズレているということが分りました。


▽ 品質向上と大幅コスト削減を実現
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計測結果に基づいてロール平行度を修正し、試運転を行ったところ、絞りの
問題が解消されたことが確認できました。

絞りの解消により、製品の品質向上という大きなメリットを得られたのは
もちろんのこと、これまで絞りを少しでも減らすために頻繁に実施していた
設備停止・ロール平行度調整などのメンテナンスが不要になり、大幅なコスト
ダウンという副次効果にも繋がりました。


---->>事例1の画像付き説明はこちら↓
http://www.tts-inspection.com/ja/inspection/roll_parallel05.html


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┃【事例2】平行度改善で金属ロールに変更しメンテナンス周期を大幅延長
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▽ アルミ箔が蛇行し品質不良が発生
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アルミ箔を生産しているお客様のロール設備は、ロール本数約500本と大規模
なもので、製品の蛇行により品質不良など様々な問題を抱えていました。

TTSのロール平行度計測サービスをテスト的に採用いただいた結果、蛇行現象
に改善が見られたことから、その後は計画停止のたびに1回約100本程度ずつ
計測・修正を行い、数回かけて設備全体のロールを調整しました。

その結果、蛇行問題は大幅に改善され、品質不良の問題は激減しました。


▽ メンテナンス周期を伸ばして運転時間を延長したい
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次にコストダウンへの取り組みを開始しました。
着目したのは設備の運転時間延長です。そこで、ボトルネックになるのは
ゴムロールの磨耗でした。

ゴムロールはグリップが良いというメリットがあるものの、摩耗が激しいため
定期的に設備を停止し、磨耗したゴムロールを交換する必要があります。
そのためゴムロールの交換時期=設備のメンテナンス周期となっていました。

つまり、ゴムロールを金属等のロールに変更すれば、設備のメンテナンス周期
を長くできる可能性があったのです。


▽ ゴムロールから金属ロールへの変更
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ゴムロールはグリップ力が高いため、製品がロール上でスリップするのを防ぐ
目的で使用されます。特に、直角やそれ以上の角度で製品の方向を変える箇所
(デフレクターロール)にゴムロールは多用されていました。

一方の金属ロールは摩耗しにくいという特長がある反面、ゴムロールよりも
スリップしやすい上、製品が蛇行・スリップすると製品にキズが入るという
難点がありました。

ロール上で製品がスリップする最大の原因は、ロールの平行度不良です。

そこで、スリップしやすいデフレクターロールなどの箇所については、更に
念入りに平行度の調整を行ったところ、金属ロールでもスリップすることが
なくなり、ゴムロールから金属ロールへの変更が可能となりました。

これを受け、順次ゴムロールから金属ロールへの変更を進めた結果、メンテ
ナンス周期を延長することができ、狙い通り大幅なコスト削減が達成されまし
た。


---->>事例2の画像付き説明はこちら↓
http://www.tts-inspection.com/ja/inspection/roll_parallel06.html


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☆ 編集後記
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最後までお読みいただきありがとうございます。

先月、TTSのスタッフがヨーロッパに出張しました。

TTSでは最先端の診断・検査技術をドイツやオランダなど様々な国から導入
しており、例えば今月ご紹介したパララインもドイツのPRUFTECHNIK Dieter
Busch AG社と提携し導入したものです。

今回のヨーロッパ出張では、これらの企業を訪問してミーティングを持ったり
最新の技術情報を入手することを目的に、10日間で4カ国を訪問しました。

情報の一部をご紹介すると、PEC(パルス渦流を用いた金属腐食検査)の
新機種や配管ガイド波診断技術の最新開発状況、埋設配管の調査に関する
新サービスなど・・・。
詳細は、いずれまたホームページやメールマガジン上でご紹介します。

今回の出張では、彼自身初めて全てのアポイントや行程を自分でアレンジした
のですが、ホテルや移動手段の調査・予約など、インターネットを使って
口コミ情報も参考に決めたため、長距離移動もホテルも快適で無駄なく
過ごせたそうです。

ただ、無駄なく詰め込みすぎたために、スケジュールがタイトになり
非常にハードな出張となってしまったのだとか。

大きな問題も無くタイトなスケジュールをこなせたのは何よりですが、
インターネットで何でも細かく分かってしまうのも、良し悪しですね。


次号の『保全と検査』メールマガジンもどうぞお楽しみに。


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☆リンク先をご覧いただけない環境の方には、同内容の資料をお送りして
おります。ご希望の資料を明記の上、ccc@tlv.comまでご連絡下さい。
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