一見使い道がない低圧蒸気や排気蒸気も、少し圧力を上げれば用途が見つかる場合があります。
スチームコンプレッサーは駆動蒸気を用いて低圧蒸気を昇圧。これにより、これまで廃棄していた蒸気を回収・再利用でき、省エネルギーに加えて、見た目(白煙)の改善や湿気など環境改善が可能です。
以下では、スチームコンプレッサーの3つの使用例をご紹介します。
給水タンクから湯気が立ち込める
改善前
大気解放系でドレン回収を行う「オープン回収」では、回収ドレン圧力の高さや、回収量の多さによっては回収タンクからフラッシュ蒸気が大量に発生します。
この回収タンクから発生するフラッシュ蒸気をスチームコンプレッサーで回収し、省エネルギーと環境改善を実現します。
スチームコンプレッサーは大気圧蒸気を回収できるため圧力容器が不要です。
改善後
余剰低圧蒸気の昇圧・再利用
改善前
蒸気タービンで発電を行っている事業所では、電力負荷と蒸気負荷の不一致が生じることがあります。復水器を持たない背圧タービンからは排気蒸気が生じるため、発電が優先された場合、最も低い圧力の蒸気が余剰となり、最終的には放蒸することになります。
この余剰蒸気をスチームコンプレッサーで回収し、省エネルギーと環境改善を実現します。
改善後
円筒状 回転式 熱交換器のブローによる蒸気ロス
改善前
円筒形状で回転する熱交換器を使用する装置では、遠心力によってドレンが排出されにくいことに加えてスチームトラップの蒸気障害により、熱交換器内部にドレンが滞留して温度ムラが発生することがあります。これを避けるため、間欠的にスチームトラップバイパス弁をブローする対策がとられます。
ブロー蒸気をなくすためには、スチームトラップ手前のドレンヘッダーで気液分離して、蒸気部分をスチームコンプレッサーで回収します。スチームコンプレッサーから吐出される蒸気は、再び熱交換器へ供給することで自己循環回路を形成します。これにより省エネルギーと環境改善を実現します。
改善後
流量計の設置
設置目的
スチームコンプレッサーの状態監視および省エネ効果把握
※スチームコンプレッサーはワンポイント設計であるため、蒸気流量の監視が必要です。
ここがポイント
- 駆動蒸気、吸入蒸気、吐出蒸気それぞれを計測する
- 各系統の蒸気圧力は変動する可能性があるためリアルタイムの質量流量補正が必須
- 過熱蒸気を使用する場合は、温度と圧力両方を使用したリアルタイムの質量流量補正が必要
さらに詳しく
吐出蒸気流量と駆動蒸気流量の差を求めれば吸入蒸気流量を算出することができますが、流量や圧力の変動がある場合には3つの系統をそれぞれ計測しておくことで変動要因を特定したり対策を立てたりする際に役立ちます。