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語句説明

さ行

再蒸発蒸気

高圧高温のドレンが低圧の雰囲気に晒されたときにドレンの一部が蒸気になる現象をフラッシュまたは再蒸発と呼び、このようにして発生した蒸気がフラッシュ蒸気や再蒸発蒸気と呼ばれます。

作動圧力差

トラップの一次圧力と背圧の差が作動圧力差です。

一次圧力が一定で背圧が高くなるとトラップの作動圧力差が小さくなります。同じトラップであれば、作動圧力差が大きくなるとドレンの排出流量も多くなります。

仕切弁

仕切弁は水門のような構造でゲート弁とも呼ばれます。

全開時の圧力損失が小さいことが特長ですが、全開時には弁体を流路から全て引き上げるため、ハンドルの回転数が多くなります。

自動凍結防止弁

寒冷地では配管やトラップ内に残留したドレンが凍結し、機器や配管の破損につながることがあります。対策として自動凍結防止弁を設置する場合があります。

自動凍結防止弁は、ばねと弁の組み合わせで構成されており、圧力が低くなると開弁し、圧力が高くなると閉弁する仕組みです。自動凍結防止弁開弁時に機器内のドレンが自然流下で排出されます。強制排除するわけではありませんので、自動凍結防止弁は機器の最も低い箇所に設置する必要があります。

湿り度

蒸気にもベタベタの湿り状態から、カラカラの乾き状態まで色々あり、その度合いを“乾き度”または“湿り度”で表現します。

全ての水が気体になった状態を乾き度1(または100%)と表現すると、
湿り度は、
湿り度=1-乾き度
と表現できます。
例えば、全ての水が気体になった状態では湿り度は0となります。

蒸気加熱復水冷却式

ディスク式スチームトラップの変圧室を保温する方式の一種で、TLVが開発した技術です。

ディスク弁が収納されている空間は変圧室と呼ばれています。ディスク型トラップは、変圧室の温度が下がり、圧力が低下すればディスク弁が開弁し、変圧室の圧力が低下しなければ閉弁を維持する作動を行います。 従って、変圧室を保温し、外的影響による温度低下を防ぐことが誤作動をなくす上で重要です。

蒸気加熱復水冷却式は変圧室の保温を蒸気で行い、冷却をドレンで行なう方式です。 変圧室を形成する内蓋の外側にさらに外蓋を設けて二重蓋構造としています。二重蓋構造により出現した空間をジャケットとして利用します。

ジャケットはスチームトラップの入口側につながっています。ドレンの排出が終わったトラップには蒸気が入ってきますので、ジャケットは蒸気で満たされます。変圧室は蒸気により保温され、ディスク弁の閉弁を維持します。逆にドレンがスチームトラップに流入してくる時には、ジャケットもドレンで満たされるため、変圧室は冷却されることになります。その結果、変圧室の圧力は下がり、ディスク弁は開弁します。

これにより誤作動を誘引する外的要因(雨・雪・冷気など)に影響されにくく、ドレンが溜まれば開弁し、蒸気が来ると閉弁するというスチームトラップ本来の作動を確実に行なうことができます。

蒸気加熱復水冷却式(A3N)

保温構造による外乱の影響の違い:蒸気加熱復水冷却式(A3N)

保温なし(一般のディスクトラップ)

保温構造による外乱の影響の違い:保温なし(一般のディスクトラップ)

衝撃吸収式球状(SAS)ピストン

パイロット式減圧弁の制御性を高めるために開発されたピストンです。

メインバルブの直上に位置するピストンは、メインバルブが開いて、蒸気が一次側から二次側へ流れる時に生じる噴流にさらされます。この噴流による衝撃でピストンが傾き、シリンダー内でひっかかったり、動作が遅れたりすると圧力が不安定になります。ピストンが常に真っ直ぐに上下動できるようになれば、高精度な圧力制御を実現できます。

このために開発されたピストンは、蒸気の噴流が当たる面が球状になっています。これは、「ストローを真上に向けて強く息を吹き込むとピンポン球が安定して浮き上がる」という原理と同じです。下から吹き上げてくる蒸気噴流に対して、球状ピストンは自己センタリング機能を有し、安定した上下動ができるのです。

衝撃吸収式球状(SAS)ピストン

自己圧力調整機能(減圧弁)

制御弁を構成するバルブ部分の機能です。TLVの蒸気用高精度制御弁シリーズが安定した制御性、設定変更時や外乱発生時の追従性の良さを持つ最大の理由は、バルブ部に減圧弁を採用していることです。

減圧弁はバルブそのものに自己圧力調整機能を持ちます。自己圧力調整機能とは外乱要素を吸収して、常に二次側に安定した圧力の蒸気を送気する機能です。外乱要素とは、主に一次圧力の変動と負荷変動(流量変動)による影響です。一般的な自動制御弁であるコントロールバルブにはそのような機能はありません。この機能は減圧弁の機能そのものと言えます。

二次圧力の機械的フィードバックは、減圧弁の最も基本的な仕組みで、二次圧の変動をダイヤフラムが検出し、二次圧がダイヤフラムを押し上げる力と調整ねじにより設定したばねの力がつりあうポイントでバルブ開度が調整されます。この動作は蒸気圧力とばねの機械的なつりあいであるため瞬時に行われます。
これが電気的なフィードバック制御を行うシステムでは成し得ない高速動作を実現し、素早い設定変更や外乱に対する強さを生み出しています。

  • 詳しい情報はこちら
    もっと知りたい蒸気のお話 -  蒸気用減圧弁

自動ブローオフ機構

スチームトラップの自動ブローオフ機構はTLVが世界に先駆けて開発しました。ディスク・トラップ、フリーフロート・スチームトラップ、フリーボールバケット・スチームトラップにおいて、装置立上げ時の初期空気を迅速に自動排除し、空気障害を防止するための機構です。

ディスク・スチームトラップの場合、空気が一旦変圧室に入ってしまうとディスク弁は閉弁したままになってしまいます。それを避けるために、バイメタルリングが使用されています。低温時はバイメタルリングが収縮しているため、テーパー状の斜面をせり上がり、ディスク弁を持ち上げます。これにより、トラップは強制開弁状態になり空気を排気することができます。高温時は、バイメタルが膨張してテーパー状の斜面を滑り落ちます。その結果、ディスク弁の動作に関与しなくなり、ディスク型トラップ本来の作動を行います。

装置用フリーフロート・スチームトラップは温度と圧力を検知して作動するX-エレメントを使用した自動ブローオフ機構を採用しています。フリーボールバケット・スチームトラップや一部のフリーフロート・スチームトラップはバイメタルを使用した自動ブローオフ機構を採用しています。

真空蒸気

大気圧力以下で、飽和温度が100℃以下となる蒸気のことです。

低温蒸気(真空蒸気)が飽和状態であれば、100℃以上の飽和蒸気が持つ優れた特長をそのまま持っていることになります。つまり、

  • ・圧力を決めれば温度が一義的に決まるので制御性が良い
  • ・凝縮潜熱を加熱に用いることができる
  • ・凝縮潜熱伝熱であるため、非常に速く、均一な加熱ができる

などの特長がそのまま引き継がれています。蒸気は低温域でも非常に優れた熱媒体なのです。

真空蒸気加熱・気化冷却システム

通常100℃以下の温度域の加熱には温水が多く使用されますが、真空技術を利用すると、熱源である蒸気の温度そのものを60℃や90℃にすることができます。この蒸気で加熱を行うためのシステムが真空蒸気加熱システムです。

同様に、従来、冷却水を使用していた冷却工程も真空技術を用いて冷却することができます。冷却水を循環させるのではなく、吹き付けた水が真空下で蒸発するときの蒸発潜熱で冷却を行います。これが真空気化冷却システムです。

スケール除去機能

TLVの温調トラップLEX-TZシリーズはスケール除去機能を内蔵しています。トラップを分解することなく、トレースラインを悩ます弁座の詰まりを簡単に解消できます。

スケールが
堆積した状態

スケールが堆積した状態

クリーニング
調整後

クリーニング調整後

鋭利な刃先にした弁先端を、調節ネジで回転させることによって堆積物を除去します。

調節ネジで回転させることによって堆積物を除去します

調節ネジで回転させることによって堆積物を除去します

弁口の詰りを解消し堆積の起点部である弁口付近の端面部も同時にクリーニングされています。シート面以外もクリーニングされているのは、蒸気と同時に、表面の堆積物も排出された結果です。

シート面以外もクリーニングされているのは、ドレンを同時に、表面の堆積物も排出された結果です。

スチームトラップ

直訳すると、スチーム=蒸気、トラップ=罠です。蒸気雰囲気の中からドレンだけを排出して蒸気を極力漏らさないという用途に用いられるため、このように呼ばれるようになったのでしょう。JIS B 0100バルブ用語では「トラップ」は「機器、配管などからドレンを自動的に排出する自力式のバルブの総称」は次のように定義されています。自動弁の一種と言うことになります。

スチームロッキング

トラップ自体に異常は無いはずなのに、ドレンを上手く排出できなくなる現象で、「ドレンがトラップへ流入しようとしている時に、ドレンより先に蒸気がトラップ内に入った場合、トラップが閉弁してしまう」ことが原因です。

ストール現象

トラップの作動差圧(トラップ前後の圧力差)がなくなり、トラップからドレンが排出されずに熱交換器内に滞留してしまう現象のことです。

ストレーナー

配管中のゴミやスケールを取り除く機器です。錆やスケール等の異物がトラップに流入すると作動障害を起こすことがあります。ストレーナーはこれを防止するために必要です。スクリーンを内蔵しているトラップもありますので、その場合はストレーナーを設置する必要はありません。

スナップアクション機構

ドレンの排出・流入に合わせて、操作気体の給気と排気を瞬時に切り替えるための機構です。切り替えの遅れによる操作気体の無駄な排出を防ぐとともに、ドレン排出・流入動作の切り替えをスムーズにします。

正圧蒸気

最も一般的に工場で使用される蒸気です。熱交換器やスチーマーなどの加熱・加湿の目的で広く用いられ、通常0.1~5MPa、110~250℃程度です。

多くの場合、圧力と温度の関係が一定で使用しやすく、潜熱加熱による素早い加熱が可能であるため、飽和蒸気の状態で使用されます。食品加工などの分野では、「焼く・乾燥させる」ための熱源として過熱蒸気が使用されることがあります。特に大気圧力で200~800℃位に昇温させた常圧の過熱蒸気は扱い易く、家庭用スチームオーブンに使用されているのも常圧の過熱蒸気です。

潜熱

潜熱とは、水が液体から気体へ相変化する際に外部から受け取ったエネルギーで、「気化熱」とも呼ばれます。液体から気体へ相変化する際に受け取ったエネルギーですから、これを放出すると蒸気は気体ではなくなり、液体の水へ戻ります。

総括伝熱係数

熱の伝わり易さは、総括伝熱係数Uという数値で表されます。U値が大きいほど熱が良く伝わるといえます。熱量の移動はQ=AUΔTで表されますので、同じ伝熱面積(=同じ釜)同じΔT(=被加熱物と目標温度が同じ)であれば、U値が大きいほどたくさんの熱量が伝えられることになります。