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蒸気の基本
乾き度・湿り度
蒸気は湿っているもの?
蒸気は、水が蒸発して気体になったものだから、『湿っている』のが当たり前というイメージの方が多いかも知れません。
実は蒸気にもベタベタの湿り状態から、カラカラの乾き状態まで色々あり、その度合いを“乾き度”または“湿り度”で表現します。
乾き度・湿り度
蒸気の乾き度とは、蒸気中の気相部分と液相分の重量割合のことです。
また、飽和蒸気が保有する熱量=全熱は、顕熱と潜熱の和ですが、乾き度は実際の蒸気の全熱量に影響します。
例えばある圧力にある蒸気が乾き度100%(湿り度0%)の状態というのは、その圧力における飽和蒸気の潜熱の100%を有している蒸気ということで、逆に乾き度0%(=湿り度100%)の蒸気というのは、その圧力における飽和蒸気の潜熱を全く有していない、つまり顕熱のみの飽和水(ドレン)ということです。
乾き度[%]=100[%]-湿り度[%] の関係になります。
ちなみに乾き度100%を超えた蒸気は?・・・乾き度の定義としては100%以上は無いわけですが、計算上も実際も存在します。これは飽和温度よりも高い温度を持つ過熱蒸気と言うことになります。
湿り蒸気の保有熱量について
飽和蒸気表には、比エンタルピー(h)や比容積(v)、比エントロピー(s)、などが示されていますが、これらの値のうち、飽和蒸気の値は全て乾き度100%の蒸気におけるものであり、飽和水の値は湿り度100%の蒸気(=飽和水)の値です。 従って、乾き度[%]の蒸気の比容積(v)、比エンタルピー(h)、比エントロピー(s)を数式で表すと下記の通りとなります。
- 比容積(v)
v=X/100v”+(1-X/100)v’=v’+X/100(v”‐v')
- 比エンタルピー(h)
h=h’+X/100r=h’+X/100(h”‐h')
- 比エントロピー(s)
s=X/100s”+(1-X/100)s'=s’+X/100(s”‐s')
TH線図による温度と圧力とエンタルピーの関係
輸送中に乾き度は低下する
蒸気はボイラーで作られたのち、蒸気配管を経て各プロセスに供給されます。その間に配管表面から放熱がありますので、蒸気の乾き度が低下します。
乾き度が低下した蒸気は加熱効率が低下する他、輸送配管や機器にとってもいくつかのデメリットがあります。そのため、輸送中に湿らせない工夫や、使用前に乾き度を向上させる工夫が必要となります。これらについては蒸気のお話の「配管からのドレン排除 前編(ドレンの取出し方)」や「セパレーター」でも取り上げています。