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スチームトラップの基本

スチームトラップの歴史 前編

 

スチームトラップが開発されるまでは?

人類が産業分野で蒸気を使うようになったのは、18世紀の産業革命以降で、最初は蒸気機関としてポンプや機関車などの動力源でした。
その後、動力としての用途は減少していき、代わって加熱源としての用途が広まっていきます。

ご存知のように、蒸気は使用すると凝縮してドレンに変化する性質を持っていますが、当初はこのドレンの排除は、定期的にバルブを開いてブローするか、または常にバルブを微開状態にして蒸気を漏らしながら排出していました(この辺りはスチームトラップとはでも触れています)。

 

スチームトラップの歴史

バルブの手動操作によってドレンを排除しているのでは面倒ですし、蒸気も漏れます。蒸気用途の拡大とともに、ドレンを自動的に排出するバルブの開発が行われるようになり、スチームトラップが誕生しました。

最初に登場したのは1800年代前半に開発されたバケット式スチームトラップです。1860年代には金属膨張式が、更に遅れて1930年代にはインパルス式が、また皆さんがよくご存知のディスク式は1940年代に初期のものが開発されています。フリーフロート式は最も新しい技術で1966年に実用化されています。各スチームトラップの断面図と概要説明は下記をご覧ください。
なお、各トラップの断面図は現代のモデルを掲載しています。

1800年代前半 - バケット式

1800年代前半-バケット式

筒型のバケットの浮力を利用して、上部の弁口を開閉し間欠的にドレンを排出します。初期のバケット式は図のような形状ではなく、上部が開放の上向きバケットが使用されていました。

1860年代 - 金属膨張式

1860年代-金属膨張式

熱膨張率の異なる2種類の金属が張り合わされたバイメタルが周囲の温度変化によって生じる形状の変化を利用して弁を開閉し、ドレンを排出します。

1930年代 - インパルス式

1930年代-インパルス式

ピストン弁のつば部からの流入蒸気量と、中心の貫通孔からの流出蒸気量を外部からのネジ調節によって設定し、ピストン弁の上下動によって弁口を開閉し、ドレンを間欠的に排出します。

1940年代 - ディスク式

1940年代-ディスク式

ディスク弁の上面の部屋の圧力変化によって、ディスク弁を開閉し、ドレンを間欠的に排出します。

1966年 - フリーフロート式

1966年-フリーフロート式

密閉フロートが受ける浮力の大きさによって常に弁口開度を調節しながらドレンを連続的に排出します。初期のものはフロートにレバーが付いていましたが、現在のフロート式は球形のフロート自体が弁の役目をします。

 

スチームトラップに必要な機能

このように、現在に至るまでいくつかのタイプのスチームトラップが登場してきました。今回取り上げたいずれのタイプも現在でも実際に使用されています。

ところで、自動弁としてのスチームトラップが持つべき機能としては、現在では次の3つが重視されています。

  • ドレンを速やかに完全に排除する機能
  • 長期間に渡って蒸気を漏らさない機能
  • 空気などの不凝縮ガスも排除する機能

これらの機能はスチームトラップの種類(作動原理・構造)によって優劣があります。また、連続でドレンを排出するタイプがあれば、間欠で排出するタイプもあるなど、作動形態もさまざまです。これらが各タイプの特長になっています。

前編ではスチームトラップの登場から現在までの流れをおおまかにご紹介しました。スチームトラップの歴史 後編では各トラップの構造や作動の違いに着目してスチームトラップの変遷を見てみることにいたします。