流体制御機器
サーモスタティック・スチームトラップ
Lシリーズ/LVシリーズ
サーモスタティックトラップの作動特性と幅広い用途
用途を選ばない高い汎用性
バイメタル式等とは異なり、使用条件による調節は不要で広い圧力範囲をカバーします。しかも主管から装置用、トレースまで幅広い用途に使用できます。トラップは、出口側圧力(背圧)が入口側の90%まで使用可能で、ドレン回収ラインにも最適です。
作動特性 / ドレン量と排出状態の関係
X-エレメント内蔵のスチームトラップはドレン量が少ない場合には“滴り作動”となります。これは流入ドレン量と弁開度がバランスした状態でフリーフロート式の連続排出に似ています。ドレン量が多い場合はディスク式のようなメリハリのある“間欠作動”をします。
X-エレメントとは
X-エレメントはサーモリキッド(感温液)とその力を伝えるダイヤフラム、弁で構成され、蒸気雰囲気中では閉弁し、ドレンや空気などの不凝縮気体が周囲にあれば開弁する機能をもつエレメントです。バイメタルでは排除できなかった高温の不凝縮気体も排除できます。この機能はサーモリキッドの特性によるものです。
サーモリキッドも水と同じようにある圧力下で、ある温度以下では液体であり、ある温度以上になると気体となって膨張します。気体になる温度は、水が蒸気になる温度よりも6℃(エアベント用は22℃)程低い温度であるため、周囲が蒸気雰囲気の時にはサーモリキッドは気化しており、膨張したサーモリキッドの入った部屋がダイヤフラムを押し、ダイヤフラムと一体化した弁と弁口の間にあった隙間を閉じます。
逆にX-エレメントの周囲が低温である場合(ドレンや空気のある状態)は、サーモリキッドが液状の状態であり、弁は押されず、弁と弁口の隙間からドレンや空気が排出されます。
※標準型の飽和温度マイナス約6℃で開閉するタイプと、飽和温度マイナス約22℃で開閉するタイプがあります。
通常の作動の場合
フェイルオープン機構(ダイヤフラムが破損した場合)
X-エレメントはダイヤフラムが破損した時、開弁状態(フェイルオープン)になるように設計されています。
スチームトラップは、故障した時、開弁状態を維持する場合(吹き放し)と閉弁状態を維持する場合(フン詰まり)があります。閉弁状態となれば、装置の運転を止めて故障トラップを交換出来ない連続プロセスにおいてはドレンが滞留し、装置に加熱不良を引き起こします。逆に開弁状態となれば蒸気が引き続き供給され、装置で生産し続けることができます。この機構はダイヤフラムが破損した時、蒸気やドレンが流入してエレメントが膨張し、弁が弁口と接触し閉弁状態になったとしても、破損時には弁中央部にある小穴を通って、弁口からドレンなどが流れるようにしたものです。
一次側圧力が維持される限り、弁は押し上げられて全開状態“フェイルオープン”をキープします。