バッチ時間を短縮して生産効率を高めたい(樹脂製造 合成工程)…
高効率なモノづくりでコストダウンを実現し、
原単位の改善による環境負荷低減に貢献
樹脂製造の合成工程において温水を使った加熱を行っておられたのですが、所要時間が長いが故にネック工程となって柔軟な生産スケジュールが組めないでいました。
この解決策として、100℃以下でも蒸気の優れた特性を活かせる真空蒸気加熱システム VACUUMIZERを導入されました。その結果、バッチ時間の大幅な短縮となりフレキシブルな生産計画を実現することができました。そのうえ、省エネ、省スペースにも貢献することができた事例です。
日本化薬株式会社 福山工場様
所在地 | 広島県福山市 |
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使用装置名 | 反応・濃縮釜 |
生産物 | 電子情報材料、機能性材料、色材 など |
採用いただいた製品
お悩み
温水でも時間をかければ合成できるが、生産スケジュールに遅れが生じていた
樹脂の製造では、液体を加熱して合成したあと溶剤をとばす工程があります。以前はタンクで作った温水を使用して加熱していましたが、時間がかかるのがネックとなりバッチ時間の短縮が求められていました。また、コスト面でも課題がありました。
従来の温水システムでは、90℃で加熱する商品と70℃で加熱する商品を続けて生産する場合、温水温度はすぐに変更できないため、仕方なく温度の高い方で対応するのですが、70℃の商品には熱源温度が高すぎる状態での運転となってしまいます。
多様化する市場ニーズにより商品のグレードが増えたことで、生産性の向上とコストダウンの両方を解決するためには、より複雑なオペレーションで乗り切る必要性が出てきましたが、作業者の負担増やミスの発生を考えると難しい状況でした。
問い合わせのきっかけ
別の現場に先行導入したVACUUMIZERが高評価されていたこと
同社では、既に別の現場に真空蒸気加熱システムを導入しており、その結果が有効であったため、当該現場にも採用できるのではないかという意見が社内から出てきました。
解決策
真空蒸気加熱システム VACUUMIZER(VM4HP)を導入
時間がかかっていた温水による加熱から、素早く加熱でき、熱源温度の変更も容易な真空蒸気加熱システムに変更しました。
改善結果
合成の時間が1/2に! 2系統運転により生産性アップに貢献
VACUUMIZERは、蒸気を負圧域にすることで100℃以下の真空蒸気が供給できるので、蒸気の特性である潜熱を利用した素早く均一な加熱を活かして短時間で目標温度に到達することができます。
その結果、目標温度90℃の合成に要していた時間を、6時間から3時間へと半減することができました。ボトルネックであった合成工程のバッチ時間を短縮できたことでスケジュール通りに生産できるようになり、納期にも間に合うようになりました。さらに、バッチ時間短縮によって生産回数を増やすことができたため、段取り替え時間の削減や、ユーティリティ費用の削減に繋がりコストダウンにも貢献できるようになりました。
また、VM4HPは最大3装置用の真空蒸気供給ラインが組み込まれており、同時に複数の装置へ任意の温度で供給し生産ができるので、状況に応じて効率的な生産計画が組めるようになりました。
導入前
導入後
お客様の声
福山工場 施設部 施設担当課長 兼 施設チームリーダー
杉本 茂基様
「VACUUMIZERの導入によってバッチ回数を増やして生産数を増やすことができればコストダウンにつながりますし、蒸気使用量が減ることでCO2排出量の低減にも貢献してもらっていると考えています。また、設備のレイアウトを検討する上では、コンパクトな点も有効でした。導入前は不安もありました。仕様のうえでは温水に比べて蒸気のU値(総括伝熱係数)が高いことは分かっていても、本当に蒸気で低温の加熱ができるのか。商品の品質は大丈夫なのか。しかし、1台目の実績もあって上長にも納得してもらえ、こちらの現場でも採用することができました。」
福山工場 製造部 製造1課 RC係 係長
高橋 仁志様
「最初に聞いた時は信じられませんでしたよ。当社の商品にとって熱は大敵。まして高温のイメージがある蒸気で熱をかけるなんて本当に大丈夫か何度も尋ねました。でも実際に90℃や70℃の制御ができているのを見て本当に驚きました。VACUUMIZERはDCS側で運転プログラムを組んでおけば自動運転が可能になるので、全く手がかからず本当に動いているのか心配なくらいです。生産計画も自由に組み替えられることができるので、生産効率はすごく良くなったと思います。」