スチームトラップからの蒸気漏れによりボイラーの燃料費が増加する…
トラップとバルブの修理・交換により2年で360万リンギット(約9,700万円)の燃料費削減を達成、ドレン回収も安全に実施。
選定ミス、誤った設置方法、経年劣化・・・スチームトラップやバルブが故障する理由は様々あります。故障が蒸気漏れやウォーターハンマーなどの問題につながり、蒸気漏れは現場環境の悪化や燃料の無駄遣いを招き、ウォーターハンマーは配管の破裂など大事に至ることもあります。蒸気漏れを早期に発見し、迅速に対応できる体制を作るためには、優れた蒸気システムの管理プログラムの導入が有効です。
この事例では、スチームトラップ、バルブの故障による蒸気漏れとウォーターハンマーで困っておられた製油所がTLVの「蒸気システム最適化プログラム」(Steam System Optimization Program, SSOP)を導入。スチームトラップ交換、ドレン排出箇所の最適化を経て、蒸気システムの問題を解決することで現場の安全を確保し、更には燃料費の大幅な低減を実現しました。
PETRONAS Penapisan (Terengganu) Sdn Bhd (PP(T)SB)様
ペトロナス ペナピサン(トレンガヌ)Sdn Bhd様
所在地 | マレーシア |
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使用装置名 | ボイラー・タービン・蒸気輸送配管・蒸留措置・熱交換器類など |
生産物 | LPG・ナフサ・ガソリンなど |
お悩み
大量の蒸気漏れでボイラーの燃料費が増加。ウォーターハンマーも発生
製油所内ではスチームトラップや配管、バルブからの蒸気漏れによる湯気が目立ち、環境が悪化していました。また、ボイラーの燃料消費が増加していて、燃料費も急増してしまいました。更に、ドレン回収配管からウォーターハンマーの音がすることもあり、事業所内の事故発生を懸念し安全を優先したため、ドレンの回収をやめてその場で放流することにしました。
問い合わせのきっかけ
過去に同様の問題で悩まされた関連会社からSSOPを勧められる
蒸気漏れの解消と燃料費低減、ウォーターハンマー解決のために、故障しているトラップやバルブの交換、配管の修理が必要でした。しかし、膨大な対象全てを点検したり定められた期間内に交換や配管工事を完了したりすることは、日々多様な業務を抱えている自社のメンテナンスチームの手に負える範囲をはるかに超えていました。そのような時に、かつてTLVの「蒸気システム最適化プログラム」(Steam System Optimization Program, SSOP)を実施して蒸気システムの問題を解決した、関連会社であるペトロナス・ガスからSSOPを勧められ、TLVマレーシアに蒸気システムを診断してもらうことにしました。
解決策
蒸気漏れのないフリーフロート・スチームトラップSS1NH、JH5SL-Bの採用、及び定期的なトラップ診断を実施
TLVの診断の結果から、スチームトラップの53%が故障していたことが判明。この故障によってトラップが大量の蒸気を漏らし、年間98万リンギット(約2,650万円)に相当する燃料を損失していたことが分かりました。
この結果を受けて、TLVとその代理店であるEnproserve社の協力を得て、まずは緊急度と重要度の高い故障トラップの交換をし、配管やバルブの漏れを修理。その後、恒久的なトラップの管理改善へ向けて中長期の計画を立て、定期的な検査を開始しました。設置されていたサーモスタティック・スチームトラップのうち32%を、省エネタイプのフリーフロート・スチームトラップSS1NH、JH5SL-Bに交換。更に、スチームトラップの能力を十分発揮できるよう、ドレン排出箇所の見直しと最適化を実施しました。
改善結果
ドレン排出箇所の蒸気漏れが解決し燃料費が大幅に低減。安全性も向上しドレン回収の再開が可能に
前述の対応の結果、ドレン排出箇所の蒸気漏れの問題が解決されました。スチームトラップの交換と管理、バルブや配管の修理の影響で、診断から2年間で360万リンギット(約9,700万円)ほどの燃料費の節約を達成し、プラントの二酸化炭素排出量を大幅に減らすことができました。