特定のエアハンドリングユニット(AHU)の蒸気コイルで穴あきトラブルが頻発する…
特定のエアハンドリングユニット(AHU)の蒸気コイルに短期間で穴があくトラブルを克服できました
建屋内に数あるエアハンドリングユニット(AHU)のうち、特定の空調機で比較的短期間で蒸気コイルに穴あきが発生するトラブルに悩まされていましたが、既設のスチームトラップに替えてポンプ機能付きスチームトラップ(パワートラップ)を設置することで、穴あきトラブルの発生を減らすことに成功した事例です。
ビル管理会社様
使用装置名 | オフィスの暖房 |
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業務内容 | ビル管理 |
採用いただいた製品
お悩み
2~3年、早ければ設置後1年で蒸気コイルに穴あきが発生する
蒸気コイルの穴あきは空調の制御や性能に直ちに影響をおよぼすトラブルではありませんが、穴からの水漏れや蒸気の吹き出しなどが装置や設備を傷める原因となるため放置できません。
エアハンドリングユニットの蒸気コイルのなかでも、再熱コイルは設定温度が低いこともあり、運用が難しく、また、ストール状態で運転されていることが通常で、空調機の運転が順調であったとしても穴あきトラブルが発生する場合がありますので厄介です。
特定の空調機で発生するトラブルとは言え、穴があいた細管を封止する応急処置も数回続けばヒーターユニットごとの交換が必要となり、大きな負担となっていました。
問い合わせのきっかけ
インターネットで見つけたコイル穴あきの原因
インターネットで検索しているとTLV のサイトがヒットし、エアハンドリングユニットのトラブルと「ストール現象」との関係についての内容に興味を持ち、担当者に連絡をとられたのがきっかけです。
※もっと知りたい蒸気のお話 ストール現象 前編(発生原因と問題)
解決策
蒸気コイル内のドレン排除を目的として空調用ポンプ機能内蔵スチームトラップを採用
蒸気ヒーターの穴あきトラブル発生要因は多岐にわたり、複数の要因が複雑に関連していることが多いのですが、共通する要因として挙げられるのが蒸気コイル内に滞留する蒸気凝縮ドレンの存在です。
そこで、対策の一つのアプローチとして蒸気コイル内に蒸気凝縮ドレンを残さないようにすることが挙げられます。
蒸気ヒーターとスチームトラップ間に十分な落差を確保することができれば、水頭圧=重力でドレンを蒸気ヒーター内から排出することが可能となり、新たに機器を導入しなくても穴あきトラブル対策ができますが、高さ方向の距離を稼ぐためのレイアウト変更は、地面を掘り下げる以外に方法がないというケースが多く、かなりハードルが高いと言わざるを得ません(注:もちろん、背圧が大きいとドレンが抜けないので、その点の検討も必要です)。
そこで、そのような大掛かりな工事をしなくても対策をとることができる方法として空調用ポンプ機能内蔵スチームトラップ (パワートラップ)を採用しました。
空調用ポンプ機能内蔵スチームトラップは、この用途を想定して設計された機種で、必要な流入水頭が極めて小さいことが特徴ですそのため、既設のスチームトラップと置き換えて同じ位置に設置することができました。
改善結果
短期間で発生する穴あきトラブルから解放された
空調用ポンプ機能内蔵スチームトラップを採用したところ、短期間で穴あきトラブルが発生することがなくなりました。
空調機器ではスタートアップ時に要求される加熱能力(=最大能力)と定常運転時に必要な加熱能力との差が大きいため、定常運転に入ると部分負荷で運転することになります。
結果的に定常運転時は蒸気ヒーターの伝熱面積が過大の「ストール状態」に陥っていると言えます。
それでも、多くの場合は空調温度が不安定になることもなく計画通りに運転できていますので、「ストール状態」で運転されていること自体が問題というわけではありません。
それ故に対策が難しいのですが、空調用ポンプ機能内蔵スチームトラップを設置することで、トラブルの原因になりやすい蒸気コイル内のドレン滞留を解消することができました。
お客様の声
「コイルに穴があく原因が分かっていなかったので、その場しのぎの処置しかできないでいたのですが、装置の中がまさかそんな状態だったとは驚きました。今回の対策で、もう最悪の事態を心配しなくて良くなったことが最大の収穫です。」