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ドレン回収
オープン回収とクローズド回収
ドレン回収の分類
ドレン回収の方法はいろいろな切り口で分類することができますが、重要な切り口の一つに回収方式があります。ドレン回収の方式は大きく分けると、オープン回収とクローズド回収の2種類に分類することができます。
オープン回収とは、ドレンを大気圧の開放系で回収する方式です。クローズド回収とは、ドレン圧力を大気圧よりも高い状態に維持したまま回収する方式です。両者の最も大きな違いは回収可能な温度の上限で、オープン回収では大気開放系で回収するために回収可能な温度の上限は100℃です。クローズド回収では回収圧力に応じて、100℃以上の温度で回収することができます。
オープン回収とクローズド回収のどちらが適していますか?
「オープン回収」と「クローズド回収」、「自圧で回収」と「ポンプで回収」のいずれに適しているかは「ドレン回収率」と「ドレン圧力」から判断できます。「自圧で回収」と「ポンプで回収」については自圧回収とポンプによる圧送でご説明しています。
それぞれの方式をもう少し詳しく説明しますと以下のようになります。
オープン回収 | クローズド回収 | |
---|---|---|
回収温度 | 100℃が上限 | 180℃が上限 (当社ドレン回収ポンプの耐温上限) |
システム構成 | 簡素 | 複雑 |
イニシャルコスト | 低 | 高 |
ランニングコスト | システムによって異なる | システムによって異なる |
回収メリット | 回収温度上限が100℃であるため限定的 | 高温で回収できるため大きい |
配管腐食 | 空気と接触するため多い | 空気と接触しないため少ない |
湯気 | ドレン温度が高い場合多く発生 | 最低限の量 |
回収用途 | 給水タンク 温水加熱原 洗浄用水 | 主としてボイラーへの直接給水 |
オープン回収の特徴
オープン回収は回収系統が大気開放となるため、構成はシンプルです。また、大気圧下でのフラッシュ蒸気分離後の配管は、水配管として設計できるので設計も容易です。そのため、ドレン回収に必要な設備投資は比較的低額で済みます。
一方で、スチームトラップ一次側の圧力が高く、顕熱を多く保有するドレンをオープン方式で回収した場合は、大気へ逃げる熱量の割合が高くなり、熱回収の面で不利になります。また、フラッシュ蒸気が元となる「白煙」が多量に発生して環境面でも不利です。
オープン回収のフロー図
クローズド回収の特徴
クローズド回収は、ドレンの圧力を維持したまま回収するため、回収系統に圧力を維持するための工夫が必要です。
具体的には、最小限のフラッシュ蒸気を大気側へ逃がすための圧力調整弁の選定や、系統内の全配管をフラッシュ蒸気とドレンが混相となっている二相流配管用の設計にしなければならない点など、オープン回収よりも複雑です。その分、回収可能な熱量は大きくなるため省エネ効果が高く、系外へ出るフラッシュ蒸気も最小限に抑えられるため、環境面でも有利です。