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電磁弁と電動弁
電磁弁と電動弁の違い
電気で駆動する自動弁に電磁弁や電動弁があります。電磁弁は文字通り電磁石を使用したアクチュエーター(駆動装置)で駆動する弁です。電磁弁のアクチュエーターはソレノイドとも呼ばれます。電動弁はモーター(電動機)を使用したアクチュエーターで駆動する弁です。
JISの「バルブ用語」の定義では、このようにアクチュエーターのタイプで分類しているのみで、弁本体の構造は問題にしていません。電磁弁のアクチュエーターは直線的な往復動作をします。一方、電動弁のモーターも電磁石を利用していますが、電動弁は終点がない回転動作をします。バルブ用途に限らず、世の中ではこの動作の違いに基づいて電磁アクチュエーター(ソレノイド)とモーター(電動機)の使い分けが行われています。
電磁弁
電磁弁の特長は、「直線動作」「高速動作」「小型軽量」です。電磁弁の多くは、アクチュエーターの往復動作で弁を直接駆動します。その場合、開弁力や閉弁力をアクチュエーターの力のみで発生させなければならず、弁にかかる力が大きくなる大口径や高圧には適しません。
これに対し、流体の圧力を弁の開閉に利用するパイロット式の電磁弁もあり、大口径や高圧にも対応しています。弁部にはソレノイドの往復直線動作と相性がよい、玉形弁構造のものが組み合わされることが多いようです。
電動弁
電動弁は電磁弁のような高速作動はできません。その一方で減速機を用いてより大きなトルクを利用することができるため大口径化にも適しています。
大きなモーターや減速機を内蔵するアクチュエーターユニットは、電磁弁に比べると遙かに大型で、「頭でっかち」な見た目になります。弁部にはモーターの回転動作と相性がよい、ボールバルブと組合せられることが多いようです。
電磁弁と電動弁の使い分け
開閉の繰り返しサイクルが短く、回数が多い場合は電磁弁が適しています。電磁弁の小型軽量・高速動作を活かし、制御機器の付属機器としてしばしば使われ、空気圧や油圧で作動する機器の補機としてよく利用されます。例えば、TLVの空気動ボール弁でもオプションとして装備できます。
高速作動が要求されない場合や閉弁時のシール性能が重視される場合は、電磁弁よりも電動弁を選ぶ方が良いでしょう。流体のメイン経路を大元で開閉する目的、例えば制御用の弁の上流に設置するような使い方では電動弁が多く使用されます。
まとめ - 電磁弁と電動弁の違い
電磁弁 | 電動弁 | |
---|---|---|
アクチュエーターの種類 | ソレノイド(電磁石を使用) | モーター(電動機) |
動作 | 高速で直線的な往復動作 | 終点がない回転動作 |
外観 | 小型軽量 | 「頭でっかち」 |
弁部 | 玉形弁との組合せが多い | ボールバルブとの組合せが多い |
対応 | 小口径、中低圧向き (但しパイロット式は大口径、高圧にも対応) | 大口径、高圧向き |
用途 | 開閉のサイクルが短く回数が多い用途 (空気圧や油圧で作動する機器の補機など) | 閉弁時のシール性能が重視される用途 (制御用の弁の上流など) |