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スチームトラップの使い方
トラップの取付方向
縦配管?横配管?
スチームトラップは配管に取り付けて使用しますが、配管は縦に走っているものと横に走っているものがあります。スチームトラップはどちらの配管にも自由に取り付けることができるのでしょうか?
実はスチームトラップには取付方向の制約が少ないタイプもあれば、制約が厳しいタイプもあります。
取付方向に制約がある理由
スチームトラップの取付方向はトラップの構造と作動原理に関係があります。
作動に浮力や重力を利用する「メカニカルタイプ」は取付方向が比較的厳しく制限されます。これらのタイプは、取付方向が正しくないと、浮力と重力の釣り合いが崩れ、弁機構が正しく作動することができないためトラップとして機能しません。
作動に重力が影響しないタイプ、例えば蒸気-水の相変化や部品の変形などの力を作動原理として利用するタイプは比較的制約が少ないと言えます。
主なトラップの取付方向
制約が厳しく、縦配管用水平配管用が明確に区別されているタイプ
バケット型やフロート型などのメカニカルタイプは縦配管用と水平配管用があります。それぞれ専用の方向でしか使用することはできません。
比較的制約が緩いタイプ
サーモスタティックタイプやディスク型は縦配管でも水平配管でも使用できるものが多くあります。特にディスク型は縦配管・水平配管どちらでも問題無く使用できるとされています。
サーモスタティックタイプは条件付きになります。
取付方向によってはトラップ内部にドレンが偏ることがあります。温度差によって作動するこれらのタイプは、感温部分の温度ムラが作動に悪影響をおよぼすことがあります。
水平配管に取り付けた場合、X-エレメントは配管よりも高い場所に位置することになるため、ドレンは、配管内→トラップ内と順次たまって、X-エレメント部へ流入してきます。これにより明確な間欠作動を行うことができます。垂直配管に取り付けた場合、ドレンは常時X-エレメント部へ流入するため、X-エレメント部は下部はドレン、上部は蒸気の状態となります。X-エレメント部の「平均温度」で作動することになるため、明確な間欠作動を行いにくく、作動が不安定になりやすいのです。
構造的・機構的に重力の影響を受けないトラップであっても、取付方向が作動に影響するケースがあるわけです。
例外
配管取付部とトラップ機構部が特別なフランジで接続されている製品があります。
TLVでは「クイックトラップシリーズ」と呼んでいます。これらは配管取付部とトラップ機構部を接続する特殊なフランジ部で常にトラップ機構部を正しい方向になるよう調整してから使用することにより、配管の向きによらず正しく使用することができます。
取説を確認しましょう
本稿で述べているのは一般論ですので、実際にトラップを取り付ける際には必ず現品の取扱説明書をご確認ください。