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バイパスバルブはどこに設置すべきか
バイパスバルブは本管側と分岐側のどちらに設置すべきか
バイパス配管は本管から一旦分岐して平行に流れてから再び合流します。スチームトラップのバイパスでは再合流する以外に直接大気へ放流したり、ドレン回収配管へ接続されたりする場合もあります。いずれにしても分岐箇所では一方は直線でもう一方は2か所以上の曲がりが組み合わされることが通常です。
さて、このバイパス回路に「バイパスバルブ」を設置する場合、バルブは本管側と分岐側のどちらに設置すればよいのか、迷うことがありませんか。どちらかが正しく、どちらかが間違っているというわけではありません。両者それぞれに長所と短所があるので、特徴をいかして使い分けましょう。
本管側に機器を設置(分岐側にバイパスバルブを設置)
本管側にバイパスバルブ設置(分岐側に機器を設置)
本管側・分岐側それぞれに特徴があります
では、本管側にバルブを設置する場合、分岐側にバルブを設置する場合それぞれの長所と短所はどんな内容でしょうか。表にまとめると以下のようになります。
本管側に機器を設置 | 本管側にバイパスバルブを設置 | |
---|---|---|
長所 | 流路が直線なので機器前後の流れが乱れない 流路が直線なので配管抵抗が小さい | ゴミなどの異物が機器へ流入しにくい |
短所 | ゴミなどの異物が機器へ流入しやすい | 曲りが多いため機器前後の流れが乱れる 曲がりが多いため配管抵抗が大きくなる |
異物の流入を実験で確認しました
鉄粉とエアを用いた実験では、両者の差が明らかになっています。鉄粉は分岐した側よりも倍以上多く本管側へ流れていました。異物は本管側、つまり「まっすぐな方へ行く」方が多いことがわかります。このことは、機器やバイパスバルブの配置に活用できる可能性を示しています。
バイパスバルブをストレート配管側に設置
バイパスバルブをバイパス配管側に設置
使い分け
減圧弁や流量計に代表される、 前後に指定の直管長さを確保する必要がある機器の場合は、一般的に本管側に機器を設置し、分岐側(バイパス経路側)にバルブを設置します(直管長さの確保については機器選定と配管サイズで説明しています )。
また、スチームロッキングやエアバインディングが起こりやすい機器やアプリケーションでは、スチームトラップを本管側に設置することが望ましいです。ディスクタイプのスチームトラップを高圧条件で使用する場合も、スチームトラップ直後に曲りがあると、エロージョンによってエルボなどの内壁が減肉してしまう恐れがあるため、スチームトラップを本管側に設置したほうがよいでしょう(ディスクタイプのスチームトラップによるエロージョンについては発電所の配管トラブル 前編(トラップ二次側)で説明しています)。
本管側に機器を設置する方が良い場合 | 本管側にバイパスバルブを設置する方が良い場合 |
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機器の例 | 機器の例 |
前後に必要な直管長さが指定されているもの ・ 流量計 ・ 減圧弁 ・ 制御弁など スチームロッキングが発生しやすい箇所のスチームトラップ 作動圧力差が小さい箇所のスチームトラップ 高圧蒸気で使用するディスクタイプ・スチームトラップ | 異物対策が取りにくい箇所のスチームトラップ ゴミ詰まりによるトラブルが多い箇所のスチームトラップ |
一番良い設置方法は垂直配管との組み合わせ
異物が直管部に流れやすいことはわかっても、バイパス側に機器を配置すると、機器への流れは悪くなります。異物の流入を減らすことと、機器への流れをスムーズに保つことを両立する方法はないのでしょうか。
これは垂直配管と組み合わせることで実現可能です。例えば、図のような配管ができると、異物の流入減少と曲りの少なさを両立させることができます。垂直配管と組み合わせることができない場合には、上述のように水平平面内で本管側とバイパス側の入れ替えを検討しましょう。
垂直配管と組み合わせて、垂直配管部で異物のブローができる場合の配管例には以下のようなものがあります。容量の大きいスケールポットを設置できると効果的です。難しい場合はブローバルブ付きのストレーナーと組み合わせるの有効です。条件に応じて組み合わせを工夫してみてください。