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スチームトラップの使い方
トラップ周辺の機器 後編
メンテナンスのために必要な機器
トラップ周辺の機器 前編では、作動に必要な機器と作動確認のために必要な機器について説明しましたが、後編ではメンテナンスに必要な機器について解説いたします。
スチームトラップを設置する時にはメンテナンスも容易にするために、トラップの周辺にはトラップ入口バルブ、トラップ出口バルブ、バイパスバルブ、ストレーナーといった機器の設置が必要です。
トラップ入口バルブ
蒸気の流入を一時的に閉止し、分解や部品交換を行なえるようトラップ一次側には入口バルブの設置が必要です。
入口バルブとしては一般的に玉形弁が用いられることが多いようですが、玉形弁は、図のように弁シート部が配管の中心付近にあるため、この位置までドレンが滞留してしまうことがあります。
ドレンが滞留すると、入口バルブとトラップの間に蒸気がこもってしまうことでスチームロッキングが発生し、ドレン排出を阻害することがあります。ドレン発生量が多い箇所の入口バルブは配管内にドレンを溜めない、流路が直線的なボールバルブや仕切り弁を使用した方がベターです。
ドレン量が少なく、バルブに起因するスチームロッキングの恐れがない箇所には玉形弁も使用可能です。
トラップ出口バルブ
単独でドレンを放流しているトラップ以外、例えばトラップの出口側配管が集合している場合やドレン回収が行われているトラップなどは、トラップの出口バルブも必要です。トラップ出口側からの蒸気やドレンの流入を一時的に閉止してトラップの分解や部品交換等を行なうためです。
出口バルブについては、入口バルブと違ってドレンが滞留してもトラップの作動やドレン排出に影響がないため、玉形弁を使用しても支障はありません。
バイパスバルブ
蒸気使用設備を運転しながらトラップのメンテナンスを行なうためには、入口バルブ・出口バルブに加えてバイパスバルブも必要です。入口バルブ・出口バルブを閉止すると、トラップを介してのドレン排出ができなくなります。この際、バイパスバルブを開くことで、蒸気使用設備は通常操業のまま、設備で発生するドレンを排出させながらトラップの分解や部品交換等が可能となります。
バイパスバルブはドレンの量に応じて弁開度を調節して使用することができる、玉形弁が適しています。
なお、いずれの用途にも言えることですが、省エネルギーやメンテナンス合理化の観点から、玉形弁はバルブのグランド部からの漏れが起こらないベローズシールバルブが用いられることが多くなっています。
ドレン量が多くスチームロッキングが問題になる装置用途ではトラップ入口バルブはボールバルブまたは仕切弁
ドレン量が少なくスチームロッキングが問題にならない主管用途ではトラップ入口バルブは玉形弁も使用可能
ストレーナー
錆やスケール等の異物がトラップに流入すると作動障害を起こすことがあります。ストレーナーはこれを防止するために必要です。スクリーンを内蔵しているトラップもありますので、その場合はストレーナーを設置する必要はありません。
ただし、配管が老朽化している、水質が悪いなどで錆・スケールの発生が多い場合や、トラップに内蔵されているスクリーンの清掃がやりにくい場合にはストレーナーの設置をお奨めします。
また、図のようにストレーナーの構造によってはスクリーン部にドレンが滞留すると蒸気の流れを阻害するような形状のストレーナーもありますので、このようなストレーナーの場合は横向きに配管設置することで、蒸気の流れの阻害を防止できます。