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配管

機器選定と配管サイズ

 

接続呼径の選定では、大は小を兼ねない

バルブ、減圧弁、流量計・・・皆さんは機器選定の際、接続呼径をどのように決定されていますか?
例えば、「50Aの配管に、50Aサイズの玉形弁を設置する」これは当たり前で、特に問題はありません。
では、「50Aの配管に、50Aの減圧弁を設置する」これも問題ないでしょうか?いいえ、問題がある可能性があります。
玉形弁などの一般のバルブは、単純に配管サイズに合わせて選定すれば良いのですが、減圧弁や流量計ではそうはいきません。制御可能な流量や計測可能な流量の範囲に制約があるからです。

例えば、TLVの減圧弁COS-16型の場合、最小調整可能流量は定格流量の5%(65A以上は10%)ですので、仮に定格流量が1000kg/hという条件では調整可能な流量範囲は50kg/h~1000kg/hになります。従って、配管呼径だけで接続呼径を合わせた結果、実流量が50kg/h~1000kg/hよりも小さかった場合は、減圧ができないというトラブルに繋がります。減圧弁や流量計では、接続呼径を配管に合わせて設置した結果、実流量に対して過大となってしまっている例が時々見られます。その場合、機器にとって範囲外の流量は正しく制御したり計測したりすることができません。

つまり、減圧弁や流量計では“大は小を兼ねる”という訳にはいかないのです。何らかの制御を行ったり計測をしたりする機器では、配管サイズに合わせるのではなく、実流量と機器の流量範囲を合わせて選定する必要があります。

 

レデューサーで異径配管と接続

「安全率を多めにとって」「将来の増設を見越して」などの理由で、かなり余裕を持った配管口径選定が行われることはよくあることです。このような条件下で実流量を基準にして選定すると、機器の接続呼径が既設配管呼径よりも小さくなってしまいます。その場合は、機器の前後で管径を縮小拡大させるレデューサー(異径継手)を組み合わせる必要があります。配管施工上、工事範囲は増えますが制御や計測の正確性・安全性のためにはやむを得ません。流量計など、前後に所定の長さの直管部を設けなければならない機器もあります。その場合は指示を守って施工します。

 

減圧弁の呼径選定の例

実際に、運転時の蒸気流量が60kg/h~500kg/hの50A配管に設置する減圧弁の呼径を選定してみます。

下図はある減圧弁で0.5MPaGの元圧を0.3MPaGに減圧する場合の、呼径ごとの調整可能流量範囲を示しています。ここに運転時の蒸気流量範囲を重ねたものが、以下赤い部分です。

60kg/h~500kg/hの蒸気流量を全てカバーできる減圧弁の呼径は、25Aまたは32Aであるため、25Aまたは32Aを選定します。これに対し、配管呼径が50Aだからといって、単純に配管呼径と同じ50Aの減圧弁を選定してしまうと、60kg/h~99kg/hの流量範囲がカバーされません。

 

流量計の呼径選定の例

運転時の蒸気流量が1台あたり50kg/hの蒸気使用装置5台に蒸気を供給する50A配管があります。装置は1台だけ運転することもあれば5台同時に運転することもあります。この配管に流量計を設置する場合を考えます。蒸気圧力は0.2MPaGとします。

5台全部が運転の場合、計測できます。1台だけの運転の場合、計測できません。

例えば流量計の呼径ごとの計測可能流量範囲が下図のようになっている場合、ここに運転時の蒸気流量範囲を重ねると、以下に赤色で示す部分となります。

50kg/h~250kg/hの蒸気流量を計測できる流量計の呼径は、40Aであることがわかります。これに対し、単純に配管呼径と同じ50Aの流量計を選定してしまうと、装置1台運転時の50kg/hを計測することができません。

実際の流量計の選定は減圧弁と違って難しい面があります。「流量が不明なので流量計を設置したい。」というケースが多いからです。この場合は多角的に検討して結論を出す必要があります。その場合の考え方は流量計測で説明しています。