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蒸気のトラブル
グループトラッピング
スチームトラップは熱交換器(部分)ごとに設置
複数の熱交換器(部分)で発生するドレンを集合させて1台のスチームトラップで排出するようなトラップ設置方法を、グループトラッピングと呼びます。
熱交換器などの装置にスチームトラップを設置する場合は、1台の熱交換器に対して1つのスチームトラップを設置し、グループトラッピングは避けるのが基本です。
但し、ここで気をつけなくてはならないのは、「1つの装置」=「1つの熱交換器」とは限らないことです。1つの装置なのでスチームトラップを1台だけ付けていたら、結果的にグループトラッピングになっていた・・・ということもあります。
グループトラッピングの例
例えばこんなケースです。熱風を発生させる蒸気加熱式のヒーターには、フィンの付いたチューブを複数並べて、ヘッダーで繋いで面を形成したものがよく使用されます。この面を2枚、3枚と重ねて伝熱面積を増加させ、加熱能力を向上させたユニットが存在します。この場合、1つの熱風発生ユニットとはいえ、内部には2つ、3つの熱交換器(部分)が存在することになります。
各熱交換器は、伝熱面のある位置や伝熱面積によって発生するドレン量が異なります。これら全てのドレン排出を、1台のスチームトラップでカバーしようとすると、ドレンが均等にスチームトラップへ流入せず、ドレンが抜けない熱交換器が出てきます。
ドレンが十分に抜けない熱交換器ではドレン滞留が発生し、その結果、ヒーター全体での加熱能力が低下します。また、深刻な問題として、ウォータハンマーの発生があります。ウォーターハンマーは熱交換器内部で起こることもあれば、スチームトラップ手前の配管で起こることもあります。ウォーターハンマーについてはウォーターハンマー(発生のメカニズム)で説明しています。
グループトラッピングによるスチームロッキング
グループトラッピングが避けられない場合
しかし中には、構造上、個別にスチームトラップを設置することが困難な装置もあります。
グループトラッピングされることの多い装置
- 熱風ヒーター
- 多段プレス
- コルゲートマシンダブルフェーサーの熱板
止むを得ずグループトラッピングを行う際は、スチームトラップ手前に十分な大きさの集合ヘッダーを設けて、気液置換が可能となるようにしなければなりません。気液置換が不十分だと蒸気がスチームトラップへ入り込み、スチームロッキングを起こす恐れがあります。
ヘッダーがあればトラップにとっての気液分離の問題は解決されますが、まだ他に問題があります。それは集合ヘッダーを設置しても、それによって各熱交換部分が相互に結合されることになるため、他の熱交換部分から伝熱部分への蒸気の逆流などが起り得ることです。その場合は、スチームトラップでスチームロッキングが起きていなくても、ドレン抜けに影響が出る可能性があります。
ドレンヘッダーでは気液分離はできますが、熱交換部の負荷に差があるとドレン流入配管に圧力差が生じ蒸気が逆流してヘッダーへのドレン流入が阻害されることもあります。このようにドレンヘッダーでは流入配管相互の干渉を防ぐことまではできません。
従って、グループトラッピングを行う場合は、それを前提とした装置・配管設計に基づき、装置メーカーで十分に確認検証をした上で実施されるべきです。既に個別トラッピングされている装置をグループトラッピング化することは上述の通り、リスクが大きいため推奨できません。