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ON-OFF弁と連続制御弁

 

制御弁の意味

制御に使用される弁は、「制御弁」と呼ばれています。「制御弁」は自動制御で使用される弁全般の呼び名であるため、広義では電磁弁や電動弁が制御弁としての役割を果たしている場合もあります。

今回は、コントロール弁や調節弁などとも呼ばれ、弁開度を連続的に変化させて連続制御可能な狭義での制御弁と、電磁弁や電動弁など弁開度は全開/全閉の二位置しか取ることのできない通称ON-OFF弁とを比較します。

ON-OFF弁(電磁弁/電動弁)と連続制御弁

 

全開/全閉のみのON-OFF弁

ON-OFF弁は、弁開度を全開/全閉の二位置しか取ることができません。代表的なものに、電磁弁や電動ボール弁、空気動ボール弁があります。全開/全閉の二位置しか取ることができないことから、流路の開閉に多く使用されます。例えば、空気動弁やエアシリンダーを駆動するための圧縮空気ラインの開閉、油圧シリンダーを駆動する油圧回路のライン切り替えなどです。

数秒サイクルの素早い動作も可能な電磁弁や空気動ボール弁は、開閉頻度が多くなりがちな温度制御の熱媒回路(蒸気や温水など)や冷媒回路(チラー水やブラインなど)の開閉に使用されることもあります。電動ボール弁は素早い動作は苦手です。あまり短いサイクルで使用するとモーターが過熱して故障の原因になります。

ON-OFF弁の特徴

  • 比較的低コスト
  • 全開/全閉の二位置をとり、開度調整は不可
  • 作動が高速(電磁弁、空気動ボール弁)

電磁弁と電動弁については、電磁弁と電動弁でもご説明しています。

 

連続制御可能な制御弁

弁開度を連続的に変化させることが可能な制御弁は、弁部が玉形弁構造で弁を垂直方向に動かし、そのストロークで弁開度を変化させるものが代表的です。それ以外には、弁部に流量特性を考慮したポート形状をもつボール弁を採用しているタイプ、バタフライ弁を採用しているタイプなどもあります。弁を駆動するアクチュエーターの種類は空気動や電動が一般的です。

いずれも、調節計から出力される操作信号に対して、所定の弁開度が正しく得られるような機構が備えられています。これにより、弁開度は0%から100%までの間で任意の位置に調整することができます。これにより対象流体の微妙な流量調整ができるため、流量制御、圧力制御、温度制御などの用途に適しています。

連続制御可能な制御弁の特徴

  • 弁部は玉形弁、ボール弁、バタフライ弁など
  • 空気動、電動で駆動
  • 弁開度は0~100%まで任意の位置に調整可

 

弁開度調節のメリット

ON-OFF弁による二位置制御では、目標値と測定値の差(偏差)が大きくても小さくても弁を開けば全開、閉じれば全閉となり、制御結果は目標値を挟んで振れ幅が大きくなりがちです。そのため、精密な制御が必要な用途には不向きです。

ON-OFF弁による二位置制御

一方、弁開度を連続的に変化させることが可能な制御弁では、目標値と測定値の差(偏差)が大きいときは弁開度を大きく、偏差が小さいときは弁開度を小さくすることができます。その結果、目標値に近い制御結果を得ることができ、精密な制御も可能です。

弁開度を連続的に変化させることが可能な制御弁

 

ON-OFF弁と連続制御弁の使い分け

一般的にON-OFF弁の方が構造がシンプルな分、制御弁よりも低コストです。コストと機能面から、以下のように使い分けると良いでしょう。

ON-OFF弁に適したケース

  • 結果はある程度ラフで良いのでコストを抑えたい場合
  • 熱容量が大きな装置の温度制御や、蒸気室容積が大きな装置の圧力制御など、制御結果の振幅がそれほど大きくならない場合

連続制御可能な制御弁に適したケース

  • 制御結果に精度が求められる場合