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蒸気のトラブル

装置のトラブルが起きる前兆

 

トラブルには前兆があります

蒸気使用設備で最も重要なことは、適切な状態が維持され、順調に生産を行えるかどうかです。運転中はその状態を維持できるよう、適正な蒸気圧力・蒸気温度に注力されていると思いますが、それだけで蒸気使用装置は安全な状態なのでしょうか。実はそうとは言い切れない場合があります。

正常に稼働しているように見えても、その内部では密かに小規模な損傷が進行しているかもしれません。そして、よくよく注意してみるとその前兆が確認できる場合があります。トラブルの前兆が分かっていれば、事前に察知し素早く対策を取ることができます。

「カンカン」「ミシミシ」「キーン」などの異音がするようになった、加熱時間が今までよりも長くなったり、製品が焦げるようになった等の場合は注意が必要です。以下では、トラブルの前兆となる具体的な現象と、そのトラブルについて説明しています。

 

前兆の例-1:装置内から「カンカンカン」と音がする

装置内から「カン カン カン」と何かを叩くような乾いた音が聞こえることはありませんか?それは、ウォーターハンマーが原因かもしれません。

前兆の例-1:装置内から「カンカンカン」と音がする

シェルアンドチューブ等の熱交換器では、被加熱物量の減少や被加熱物温度の上昇等で装置の負荷が減少すると、トラップ前後の差圧がなくなり、シェル内部にドレンが滞留します。これをストール現象と言います。また、装置が停止すると背圧次第ではシェル内が満水になる場合もあります。

ドレンの水位が高い状態で、蒸気が供給されると急凝縮のウォーターハンマーが発生します。但し、蒸気輸送管のような激しい衝撃ではなく、小規模な衝撃が一時的に発生するケースがほとんどです。

小規模ウォーターハンマーは、長い年月を経て突然装置を破損させます。破損するのは、圧力の高い=負荷の高い=フル操業の場合が多いので、速やかにドレン排除を行うことが予防保全の観点から重要です。

ウォーターハンマーのメカニズムはウォーターハンマー(発生のメカニズム)を、装置のウォーターハンマー対策はウォーターハンマー(対策その2)をご覧ください。

 

前兆の例-2:装置内から「ミシミシ」「カチカチ」「ペキペキ」と音がする

装置からの「ミシ ミシ ミシ」と何かがはがれるような音は、破損の前兆かもしれません。装置の破損を引き起こす要因として、ヒートサイクルがあります。これは、伝熱管やヒーターに高温部分と低温部分が繰り返し発生することで疲労破壊を招き、装置破損に繋がる現象です。

前兆の例-2:装置内から「ミシミシ」「カチカチ」「ペキペキ」と音がする

装置の材料である金属は比較的熱膨張率が大きく、温度が高くなると伸び量が大きくなります。場所による温度差が大きいと伸び量の差も大きくなり、その結果部品が変形したり、破断してしまうこともあります。破断は、大きな力によって引き起こされるだけでなく、小さな力の繰り返しでも起こり得ます。ヒートサイクルのメカニズムや対策についてはヒートサイクルをご覧ください。

 

前兆の例-3:加熱時間が長くなったり、製品が焦げ付くようになった

製品に焦げ付きや加熱不足が見られるなら、ストール現象が発生しているかもしれません。ストール現象とはトラップの作動圧力差がなくなり、ドレンが排出されずに熱交換器内に滞留してしまう現象です。

前兆の例-3:加熱時間が長くなったり、製品が焦げ付くようになった

ジャケットに滞留したドレンは低部ほど温度が低くなってきます。このような構造の熱交換器では伝熱面に温度ムラができてしまい、品質に悪影響を及ぼす恐れがあります。ストール現象のメカニズムはストール現象 前編(発生原因と問題)を、対策はストール現象 後編(ストールの解消方法)をご覧ください。

 

前兆の例-4:蒸気を通すと「キーン」と甲高い音が継続して聞こえる

配管や制御弁から「キーン」という甲高い音が通気中に鳴り続けると、次のようなトラブルに繋がるかもしれません。

前兆の例-4:蒸気を通すと「キーン」と甲高い音が継続して聞こえる

装置の破損を引き起こす要因として、エロージョン(摩耗)があります。これは蒸気中に含まれるドレン水滴が配管内壁や装置入口部などを侵食させ、破損に至らしめる現象です。エロージョンの詳細及び対策はエロージョンをご欄ください。

 

本格的なトラブルに発展する前に対策を取りましょう

どの前兆もそのまま放置すると、装置が突然破損したり、製品の品質に悪影響を及ぼしたりする恐れがあります。装置破損などによって装置が止まってしまう前に、前兆が見られる段階で原因を突き止めて対策を取ることによって、トラブルを未然に防ぎましょう。