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逆止弁 前編

 

逆止弁のはたらき

逆止弁は文字通り逆流を防止するために使用される弁です。「逆流防止弁」「逆止め弁」のほか「チェックバルブ」「チャッキ弁」など様々な呼ばれ方をします。上流から下流にのみ流体を通し、下流から上流への流れを許しません。

一般的に、開閉弁は一次側と二次側の圧力差に依存します。一次側圧力の方が高ければ開弁し、二次側圧力の方が高ければ閉弁します。

逆止弁のはたらき

逆止弁が設置されていると、トラップ出口配管が集合していても、稼動中の装置から排出されるドレンが休止中の装置へ逆流することはありません。逆流防止については逆止弁の設置と効果で説明しています。

 

逆止弁が使われる用途

では、逆止弁はどのような場所で「逆流を防止する」ために使用されるのでしょうか。具体的な用途としては以下が挙げられます。

1)  スチームトラップの二次側 : 異物の流入防止、立ち上がり負荷軽減

2)  異種流体配管の合流地点 : 異種流体の混合防止

3)  液体配管の立ち上がり部 : 戻りウォーターハンマーの防止

4)  ポンプの吐出側 : ポンプ停止時の逆流防止

5)  メカニカルポンプの前後 : 流れ方向の規制

5) のように、2台の逆止弁をメカニカルポンプの前後で組み合わせ、逆止弁と逆止弁の間の圧力が周囲よりも高くなる際に流れ方向を規制する用途は、ちょうど心臓の弁のような役割と言えます。

 

最低開弁圧力差・クラッキング圧力

当社では弁が開き始める圧力差を最低開弁圧力差と呼んでいます。一般的によく用いられる逆止弁の特性を表す指標には、クラッキング圧力があります。クラッキング圧力はある一定の流量が流れるときの圧力です。

同じ逆止弁では、最低開弁圧力差はクラッキング圧力と同じか小さい値で、その際の流量は限りなくゼロに近いと言えます。

最低開弁圧力差とクラッキング圧力は必ずしも同一ではありませんが、「ある一定の流量」の値を定めた規格があるわけではないため、最低開弁圧力差をクラッキング圧力としているメーカーもあります。

 

圧力損失

通常のバルブ同様、逆止弁にも圧力損失があります。逆止弁の構造によって、圧力損失の大小は異なります。弁体やその他の部品が流路内に残る構造の逆止弁(ディスク式など)は、全開時の圧力損失が大きめとなります。

圧力損失:逆止弁(ディスク式)

逆に、全開時に部品が流路内に残らない構造の逆止弁(スイング式など)は、全開時の圧力損失が小さめです。

圧力損失:逆止弁(スイング式)

最低開弁圧力差やクラッキング圧力の値が小さくても、全開時の圧力損失が大きい逆止弁もありますので、用途に合わせてどの性能を重視するか検討する必要があります。

逆止弁の種類や構造については逆止弁 後編で見ていきます。