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蒸気のトラブル

コロージョン

 

コロージョンは腐食

エロージョンが機械的な浸食であるのに対して、コロージョンは腐食です。

腐食の代表的なものに、「錆び」があります。鉄さびは鉄の表面が酸化物となり、表面で成長したり内部へ進行したりしたものです。

コロージョンを受けた配管

コロージョンを受けた配管の写真

錆びにくい金属

金や白金はそれ自体が酸化還元反応を起こしにくい性質を持っていますが、多くの「錆びにくい金属」は異なるメカニズムで耐食性を獲得しています。

その代表的な例が、安定な酸化物等で表面が保護されているもので、見た目には「錆びにくい金属」と映ります。このような、表面に安定な保護皮膜を形成する身近な材料にステンレスがあります。

錆びやすい金属

対照的に、不安定な腐食生成物で覆われている場合、もろい腐食生成物は表面から剥がれたり、水溶性の腐食生成物は流れたりするため、結果として不安定な金属表面が常に剥きだしとなります。そして、新たな面が腐食しては脱落する、を繰り返して減肉が進行していくのです。

金属の腐食は、金属材料と環境との境界面で起こる何らかの酸化還元反応によって、表面の一部がイオンとなり、配管やバルブを構成している金属材料から離脱していくこと、と言えます。

 

蒸気系配管におけるコロージョン

蒸気系配管は蒸気輸送配管とドレン回収配管に大別できますが、ドレン回収配管の方がコロージョンは起こりやすいと言えます。というのも、液体の水と空気(酸素)と鉄(鋼管)という条件が揃うからです。

それに比べて蒸気配管は、基本的に空気が無く液体の水が少ないため、腐食の条件が揃っているとは言えません。腐食が促進される環境ではないので、ドレン回収配管に比べるとコロージョンの進行は穏やかなことが多いでしょう。

また、ドレン回収配管でもクローズド回収をしている場合などは、ドレン回収配管圧力が大気圧よりも高いため、使用中に空気が混入してくることはなく、コロージョンは進行しにくいと言えます。

 

配管のコロージョン対策

前述のような理由で、ドレン回収管のステンレス化はしばしば行われます。もちろん配管自体を長持ちさせる目的がありますが、配管がコロージョンを受けにくいと言うことは、回収ドレン水質の維持にも好影響があります。配管がコロージョンを受けると、回収ドレン中の鉄イオン濃度が増えたり、腐食生成物によるエロージョンが起きたりすることがあるからです。

なお、鋼管の一種であるSGP管には亜鉛めっきが施された通称「白ガス管」がありますが、めっき層がはがれたり溶出したりしやすく、それが他の機器に悪影響を及ぼすこともあるので、蒸気配管系には避けるべきです。基本的に腐食条件が揃ってしまうドレン回収配管では、pHなど水質を確認し、復水処理剤などをうまく活用して配管を保護するとともに、計画的な配管やバルブの交換も必要でしょう。

 

銅管のスチームトラップは詰まりやすい?

コロージョンによる影響といえば、銅管の場合も注意が必要です。銅は水と酸素のある雰囲気でも鉄とは腐食の仕方が異なるため、鉄管ほど減肉を気にかける必要はありません。それよりも、腐食化合物として溶出した銅が下流のバルブやスチームトラップに流れ、詰まり等の原因となることに気を付けなければいけません。

鉄管の場合

個々の箇所にとっては管の損傷に至るほどの腐食ではなくても、腐食生成物はドレンによってスチームトラップ内へと運ばれ、次々に堆積していきます。もちろん鉄管でも腐食生成物によるトラップの詰まりは起こりますが、大部分はストレーナーのスクリーンでブロックされます。従って、適切なタイミングでスクリーンを清掃すれば、トラップ自体の詰まりは防げます。

コロージョンを受けた配管の写真

銅管の場合

銅管が厄介なのは、トラップを詰まらせる原因になる物質が一時的にドレンに溶解するなどして、ストレーナーのスクリーンを通り抜けてしまう場合があることです。こうなるとスクリーンの清掃は効果がありません。ドレンが放出される際、圧力が低いトラップの二次側では排出されたドレンが再蒸発(フラッシュ)しますが、化合物は蒸発できないため析出した銅がトラップの弁座付近にとどまって詰まりの原因となります。

コロージョンを受けた配管の写真

 

銅管のコロージョン対策

銅管のバルブやスチームトラップの詰まりを避ける対策としては、ステンレス配管にするという方法が一番簡単です。しかし、トレース用途の細い配管などステンレス化しにくいケースもあります。

その場合は、詰まったバルブやトラップをその都度分解清掃することになりますが、現在は清掃機能(詰まり解消機能)のついたスチームトラップなどもあり、「分解清掃の手間が省ける」と銅管トレースに多く利用されています。