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蒸気の基本
蒸気とは
蒸気とは気相
蒸気とは、広辞苑によると『物質が液体や固体の状態から蒸発したり昇華したりして気体になったもの』であると記されています。
本来の意味からすると、空気も、『窒素の蒸気と酸素の蒸気とアルゴンや二酸化炭素の蒸気に加え、その他様々な物質の蒸気が混合した気体』と表現することができます。
しかし、このように表現してしまうと、身の回りは蒸気だらけで紛らわしいため、一般的には常温では気体でない物質が気体になっている状態を指して蒸気と呼ぶことが多いようです。
更に、何の気体かについても、通常は単に蒸気と言えば水蒸気、つまり気体のH2Oを指すのが一般的です。
かつては動力源、今は加熱源
蒸気機関が全盛だった頃は、「蒸気」と言えば蒸気船の代名詞。陸蒸気といえば蒸気機関車でした。また、蒸気ハンマーといえば、鍛造などに使う自動ハンマーで動力源が蒸気のものを指す言葉でしたが、現代の、特に私たちの仕事の領域では、ウォーターハンマーの同義語として使われることの方が多いでしょう。ウォーターハンマーについてはウォーターハンマー(発生のメカニズム)で説明しています。
そして今日では、多くの動力源は内燃機関や電力に置き換わり、動力源としての蒸気は、発電所や一部の大規模な工場でしか見られなくなりました。今では、蒸気の用途としては加熱の方が一般的と言えます。
いずれにしても、蒸気機関の動力としての蒸気も、熱源としての蒸気も、ボイラーで発生させる水蒸気に変わりはありません。
加熱に使われる水蒸気
直接加熱
次に、加熱に用いる蒸気そのものについて見てみます。例えば、餅米を蒸したり中華饅頭を蒸したりする蒸籠(せいろう・せいろ)は、身近な蒸気加熱装置の一つです。
最下段に位置する水の入った釜で蒸気を発生させ、蒸籠の中を上がっていく蒸気で蒸しています。言わば、ボイラーと蒸し庫が一体になったようなものです。「蒸す」という工程は、蒸気と被加熱物が接触する「直接加熱」により蒸気の潜熱による加熱と、蒸気の凝縮水による水分補給とが組み合わされた工程と言えます。
間接加熱
万遍無く、かつ素早く熱を伝えられる熱源、蒸気=水蒸気は当然ながら工業的にも非常に有用です。工業的な蒸気加熱としては、熱交換器を介して被加熱物に熱を伝える、「間接加熱」が多く用いられます。
間接加熱では、蒸気が凝縮したドレンによる水分増加を気にする必要もなく、熱だけが伝えられますので、溶かす・乾かす・沸かす等の工程に広く使用されます。
清涼飲料・アルコール飲料・スナック菓子・タイヤ・トイレットペーパー・段ボール・ガソリンなどの燃料油・医薬品等々、様々な製品の製造工程で使用されています。