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配管
蒸気輸送配管(主管)に最適なトラップとは
蒸気輸送配管(主管)のドレン抜きの必要性
蒸気輸送配管において、 ドレンを迅速に排除することは配管からのドレン排除 前編(ドレンの取出し方)で触れたとおり蒸気系統を安全な状態に維持し、蒸気の質を維持するために必要です。
それはウォーターハンマー (発生のメカニズム)のようにドレンが滞留するとウォータハンマーやエロージョンの原因となるからです。
また、蒸気を極力漏らさないことは、省エネルギーの観点から重要です。
蒸気輸送配管(主管)のドレン排出のポイント
蒸気系統におけるドレン排出のポイントは、以下の2点です。
1. ドレンは速やかに排出
2. 蒸気は極力漏らさない
このポイントを具体的に解説すると、次のように言えるでしょう。
1. ドレンを速やかに排出し極力ドレンが蒸気輸送配管内に残留しない状態を作り、
2. 且つスチームトラップ弁部のシール性能を高めることで蒸気を漏らさない
ドレンを溜めて省エネが可能か
もちろん、この2つのうち、「1.ドレンは速やかに排出」を優先しなければなりません。省エネルギーを目指すあまり、蒸気システムでトラブルが起こってしまっては本末転倒です。
しかしながら、世の中にはそのことに反して、ドレンをトラップ一次側に滞留させるタイプのスチームトラップを使用し、「水のバリア」を作ることで蒸気の吹き抜けを防ぐというアプローチがあります。果たしてこの方法は有効でしょうか?
蒸気を漏らさないという点では一見手軽で効果的な方法に思えますが、最も優先されるべき、「ドレンは速やかに排出」させるという命題に反しているという重大な欠点があります。
ドレン滞留量をコントロールできないなら成り立たない
ドレン発生量はスチームトラップが決めるのではなく、外部環境で決定されます。外部環境要因で増減が左右されるドレンを「多すぎず少なすぎず」滞留させることは容易ではありません。ドレンを滞留させるタイプのスチームトラップは、ドレン水位をフィードバックして開閉弁動作を行っているわけではないからです。
ドレンを滞留させるタイプの代表格はサーモスタティックタイプですが、このタイプはドレン温度の高低によって開閉弁動作を行います。そのためドレン量が急激に増加した場合などはむしろ温度が下がりにくいために開弁動作が遅れ、さらにドレン滞留量が増加する恐れがあります。
基本に忠実な「正攻法」でトラッピングを考える
このように考えてみると、やはり排出すべきドレンを用いて蒸気の吹き抜けを防ぐというアプローチには無理があることがわかります。
蒸気輸送配管(主管)に最適なトラップとは、排除すべきドレンは排除し、閉弁すべきときにはしっかり閉弁してそのシール性能を高めたものであることが求められます。