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省エネルギー
蒸気の漏れ対策
蒸気の漏れ箇所
徹底した蒸気の省エネ対策が実施された工場では、蒸気配管やバルブ等から蒸気が漏れているのを見かけることがあまりありません。しかし、年月が経過するとガスケットの劣化等によって蒸気漏れは起こります。しっかりとメンテナンスが行なわれなければ、漏れ箇所・漏れ量とも時間とともに増加していくことになります。
一般に蒸気を使用する工場での蒸気漏れ箇所は、
- 配管継ぎ手部
- バルブ
- スチームトラップ
の3つに大別されます。また、バルブとスチームトラップについてはグランドパッキン等からの外漏れ、シート部から二次側への内漏れに細分化されます。
配管継ぎ手部の漏れ対策
配管やバルブのフランジ接続部やねじ込み接続部からの蒸気漏れは、主に配管が熱によって膨張・収縮する際の応力、それによるボルトやねじ込みの緩み、ガスケットの劣化等が主な原因です。
従って、漏れが発生した箇所については、増締めやガスケット交換などの処置だけでなく、原因分析に基づいて、固定支持点の変更や伸縮継ぎ手の追加のように恒久対策も実施しなければ、再発の可能性が高いと言えます。
なお、最近採用が増えているステンレス配管は炭素鋼管よりも熱による伸び縮み量が多いため、初期には炭素鋼管以上に増締めに注意を払う必要があります。
バルブの漏れ対策
バルブからの外漏れの大半は、グランドパッキン部からの蒸気漏れです。グランド漏れは、バルブの構造によっては増締めをすれば一時的に漏れを止めることができます。
しかし、開閉操作の頻度の高い箇所は短期間で再び漏れることが多く、そのような箇所にはベローズシールバルブを使うのが有効です。ベローズで外部と仕切り、更にその外側にグランドパッキンを備えているため、極めてグランド漏れが起こりにくい構造のバルブです。
一方、内漏れとは本来閉止しているはずのバルブが二次側へ漏らしてしまう状態で、主な原因はシート漏れです。外から見えない部分で漏れますので、発見しにくいという特徴があります。聴診器や超音波振動が検出できる診断器などのツールを活用しましょう。
開度調整と閉止を兼ねるバルブでは、シート漏れが起こりやすいと言えます。開度調整用バルブと閉止用バルブをそれぞれ用意して役割分担させることも一つの方法ですが、蒸気配管の場合は、シート部の劣化対策としてセパレーターを使用して蒸気中のドレンを排除することも有効です。
スチームトラップの漏れ対策
以上の項目は「機器が正常でなくなった際の漏れ」でしたが、スチームトラップの場合は、加えて「正常時のロス」も考慮しなければなりません。
1. 正常時の蒸気ロス
スチームトラップには多くの種類がありますが、作動原理の違いにより新品であっても正常時の蒸気ロスに大きな差があります。蒸気圧力やドレン量などの使用条件にもよりますが、一般的なディスク式と最も省エネタイプのフリーフロート式を比べると新品時の蒸気ロスの差は10倍以上にもなります。
従って、スチームトラップを選定する際には省エネタイプを選んでおくことが重要です。
2. 故障トラップの漏れ対策
蒸気漏れ故障を起こしているスチームトラップからのロスは、蒸気配管の省エネ対策の中で説明した通りです。
使用条件や漏れの程度によっても異なるものの、一台からの漏れでも金額換算すると数万円以上になる場合もあります。
当社が過去に実施したトラップ診断のデータから推測すると、お客様の事業所に設置されているスチームトラップの総設置台数の内、5~10%位が蒸気漏れの状態と言うことができます。これを確実に発見し、処置の際には省エネタイプのものに更新すれば、蒸気の大きな省エネとなります。