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蒸気のトラブル
エロージョン
蒸気配管でも起こるエロージョン
知らぬ間に配管が減肉して、亀裂が入ったり穴が開いたりする。これは「エロージョン」が原因かもしれません。
エロージョンとは機械的な浸食作用です。エロージョンの多くは固体により浸食されるものですが、固形物を流すわけではない蒸気配管でも起こります。
これは、飽和蒸気に存在する凝縮ドレンの水滴が高速で運ばれて、屈曲部などに衝突することで発生するエロージョンです。固体によるエロージョンとは区別して、「液滴衝撃エロージョン」と呼ばれることもあります。
エロージョンが発生している箇所は、常に表面が削り取られるため、表面は「剥きだし」の状態です。これにより電気化学的な腐食(コロージョン)の進行も早まることが多く、蒸気系配管では両方の作用で腐食が進行するエロージョン・コロージョンとして捉えられることが多いようです。
エロージョンによる配管の損傷
炭素鋼配管の耐食性はステンレス配管に比べると劣りますが、炭素鋼配管であっても、通常は蒸気輸送配管として何年も使用することができます。
ステンレス配管ほどではなくても、表面に保護被膜として機能する比較的安定な化合物層を形成することで、腐食減肉の速度が実用に耐えられるからです。
ところがエロージョンが起こると、極めて短時間で減肉が発生します。液滴の衝撃力は相当大きいとの報告もあり、ドレンが鋼管を直接損傷させるのに加え、表面の安定な層が削り取られてしまうことにより腐食が促進され、短時間で減肉を進行させてしまうのです。
蒸気配管におけるその他のエロージョン
蒸気輸送配管やドレン回収配管など蒸気系の配管では、液滴衝撃エロージョンの他にもいくつかのエロージョンがあります。
フラッシュ蒸気が容易に発生するドレン回収配管では、フラッシュ蒸気の発生により、「湿り度の高い蒸気配管」とほぼ似た環境になることがあります。この後に起こる現象は液滴衝撃エロージョンそのものですが、フラッシュ蒸気の発生がきっかけであることから、フラッシングエロージョンと呼ばれます。
ドレン回収配管では、フラッシュ蒸気が細かい泡状に発生する場合もあり、これが潰れるときの衝撃でエロージョンを起こす、キャビテーションエロージョンもあります。
エロージョン対策
ドレン回収配管の対策
常時、気液二相混相流であることの多い、ドレン回収配管でのエロージョン対策は非常に難しいものがあります。まず、二相流であることを考慮した、適切な管径でドレン回収配管を設計することが重要です。
配管設計を行う場合は通常、1時間当たりの平均流量値を使用しますが、間欠排出型スチームトラップの場合、連続排出型のものに比べて排出中の瞬時流量が1時間当たりの平均流量よりもかなり大きくなります。その結果、実流速としてはかなり速い状態で使われることになり、エロージョンによる損傷が発生することがあります。
配管のエロージョン
集合管のエロージョン
これを防ぐには、配管径を太くする、曲がり配管を無くす、配管材質をステンレスにする等の注意が必要です。更に、連続排出型のスチームトラップも有効です。
蒸気輸送配管の対策
蒸気輸送配管のエロージョン対策は明快で、蒸気中のドレンを分離することです。ドレンを効果的に分離するには、セパレーターを使います。セパレーターはセパレーターでも説明しています。
飽和蒸気では配管からの放熱により常にドレンが発生するため、適切なトラッピングで蒸気配管中のドレンを排出し、要所にはセパレーターを設置して強制分離させる、その組み合わせが肝要です。