メインコンテンツに移動
  1. ホーム
  2. 蒸気のお役立ち情報
  3. もっと知りたい蒸気のお話
  4. トラップの背圧

スチームトラップの基本

トラップの背圧

 

背圧とは

JISにも定義されているバルブ用語で、トラップやバルブの二次側圧力のことです。トラップの一次圧力と背圧の差が作動圧力差です。

その場で放流すれば、背圧は発生しない

その場で放流すれば、背圧は発生しない

多くの屈曲を通る時に摩擦等で流れが阻害され、背圧が発生する

多くの屈曲を通る時に摩擦等で流れが阻害され、背圧が発生する

水頭圧による逆圧が背圧になる

水頭圧による逆圧が背圧になる

排出したドレンが流れ込むフラッシュタンクの内圧が高くなると、背圧が高くなる

排出したドレンが流れ込むフラッシュタンクの内圧が高くなると、背圧が高くなる

 

背圧とトラップの排出能力

一次圧力が一定で背圧が高くなるとトラップの作動圧力差が小さくなります。同じトラップであれば、作動圧力差が大きくなるとドレンの排出流量も多くなります(この辺りはトラップとオリフィス 後編でも触れています)。

 

トラップの許容背圧

背圧は単にトラップのドレン排出流量に関係するだけではありません。トラップの許容背圧の問題があります。

許容背圧とはトラップが正常に作動するために許される背圧の最大値(範囲?)を一次圧力に対する割合で表したものです。通常、背圧が高くなるにつれてトラップは正常に作動することができなくなります。

では、背圧が高くなるとトラップの動きはどうなるのでしょうか。多くのトラップでは背圧は弁を開く方向の力=開弁力として作用します。一次圧力が一定のまま背圧だけが大きくなるとトラップの開弁力が大きくなりますので、トラップの種類によっては閉弁状態が維持できず開弁したままになってしまうものがあります。

 

異なる許容背圧

例えばディスクトラップの許容背圧は50%です。一次圧力が1.0MPaGだとすると、背圧は0.5MPaG以下でなければなりません。フリーフロートトラップの場合は比較的許容背圧は高く90%以上です。一次圧力が1.0MPaGだとすると、背圧は0.9MPaG程度でも問題なく使用することができます。

ディスクトラップとフリーフロートトラップで異なる許容背圧

このようにトラップのタイプにより許容背圧が異なりますので、トラップ選定の際にはドレン排出流量だけではなく、設置予定場所における背圧も確認しましょう。

既設のトラップから新たにドレン回収を行う場合などは、従来以上の背圧がトラップに対してかかることになりますので、排出能力と許容背圧の両面で注意が必要です。