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蒸気のトラブル
ウォーターハンマー (対策 その2)
装置のドレン対策
蒸気輸送管と同じく、装置においてもドレンは速やかに排除すべき対象ですから、装置のウォーターハンマー対策でも、ドレンをいかにスムーズに遅れなく排除できるかが重要です。
装置の蒸気室内にドレンが滞留する理由として、以下が挙げられます。
装置の構造や設置上の問題でスチームトラップへドレンが流入しにくい場合
ストール現象が発生している場合
上記のような対策は簡単に思えますが、実際にはこの通りにできないこともあります。
ドレン対策が困難なケース
例えば、3万キロリットル級重油タンクのボトムヒーターでは、内部ヒーターの長さが分割しても1本100mを超えます。ヒーターの入口・出口の段差次第では勾配は1/300~1/400になりますが、これは一般的な蒸気配管勾配(1/100~1/200)の半分以下にすぎません。このような勾配では、ドレンが自然流下できない場合があります。
このように構造的に流下勾配が取れない装置では、完全な対策を講じることができない場合があります。
また、一般的なヒーターでは、最大加熱能力に対して負荷が極端に小さくなると、ストール現象が発生します。ストール現象はスチームトラップの作動圧力差が十分に確保できなくなる状態で、ドレンを自然排出することができません。
この場合は、ドレンを蒸気で圧送・排除するパワートラップや真空ドレン回収ポンプが対策として有効です。
還水管のウォーターハンマー
蒸気輸送管や装置以外に、還水管でもウォーターハンマーは発生します。還水管内は輸送対象のドレンとドレンから発生するフラッシュ蒸気により、多くの場合、高温蒸気と低温ドレンが混在している状態です。
しかし、輸送対象であるドレンを排除するわけにはいかないため、還水管のウォーターハンマーには抜本的な対策がありません。軽減する(小規模に抑える)対処法しかないのです。
還水管のウォーターハンマーには多くの発生形態がありますが、基本的には全て蒸気が急凝縮するタイプのウォーターハンマーです。その一例として、装置で発生するウォーターハンマーと似た発生形態に「還水管からの逆流蒸気によるウォーターハンマー」があります。
圧力差の大きい還水管どうしの接続点やフラッシュタンクとの接続点付近で、低圧側の還水管へ高圧側のフラッシュ蒸気が逆流してウォーターハンマーを発生させる形態です。
還水管からの逆流蒸気によるウォーターハンマー
フラッシュタンクからの逆流蒸気によるウォーターハンマー
このウォーターハンマーは、還水管の低温ドレンが脈流している場合に発生するため多くの工場で見られます。
対策としては、蒸気の逆流を防止するため、チャッキバルブを設置します。但し、設置箇所やチャッキバルブの種類を間違えると、効果が半減します。
ウォーターハンマー (対策 その3)では還水管で発生するウォーターハンマーを、引き続きより詳しく取り上げます。