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配管
配管の種類
蒸気を流すための配管とは?
蒸気やドレンの輸送に配管は欠かせません。「水道管」や「ガス管」はよく耳にしますが、「蒸気管」とはあまり言いません。では、蒸気輸送用にはどのような種類の配管が使用されるのでしょうか?本稿では蒸気配管やドレン回収配管に使用される配管材料について述べてみます。
蒸気配管は圧力を持った気体を流す配管ですので耐圧性能が求められます。また同時に、100℃以上の温度に耐えなければなりませんので耐温性能も求められます。このため、通常は鋼管が使用されます。
鋼管にもいろいろな種類があります。代表的な鋼管について解説します。
蒸気用に使用する代表的な鋼管
SGP管
JISの正式名称は配管用炭素鋼管で、通称ガス管と呼ばれます。蒸気用の配管としては一般的に1MPaG以下の配管用で使用されます。
白管(白ガス管)、黒管(黒ガス管)と呼ばれる2種類のものが存在します。白管は内外面に亜鉛めっきが施された管で、白っぽく(新品時は銀色の金属光沢)見えるためこのように呼ばれています。黒管はめっき処理はされず、黒っぽく見えます。
蒸気やドレンの配管には黒管を使用するようにしましょう。白管は表面にめっきされている亜鉛が剥離して、ストレーナーを詰まらせたり、減圧弁や制御弁の内部を詰まらせてしまったりする危険性があります。
STPG管
JISの正式名称は圧力配管用炭素鋼鋼管で、通称スケジュール管と呼ばれます。
同じ呼び径でも肉厚の異なるものが用意されています。その肉厚を表すのがSch(スケジュール)番号です。スケジュール番号が大きいほど肉厚が厚くなります。従って高圧配管ほど大きなスケジュール番号の管を使用します。
ステンレス管
JISには一般配管用ステンレス鋼管や配管用ステンレス鋼管があります。耐食性に優れているため、近年特に還水(蒸気凝縮ドレン)系統への使用が増えてきています。
蒸気やドレン回収の配管用として使用するには、配管用ステンレス鋼管が一般的です。一般配管用ステンレス鋼管は大気開放系の回収配管など圧力のかからない箇所への使用に留めるのが無難です。
ステンレス鋼は炭素鋼よりも線膨張率が大きいため、温度変化による伸び縮み量が大きいので、施工直後は接続部分からの漏れに注意が必要です。炭素鋼製配管材以上に 増し締めには気を使わなければいけません。
またフランジボルトやナットに炭素鋼を使用する場合は電位差腐食(電触)に注意し、十分な絶縁を施すなどの対策が必要です。
各配管の概要を表にまとめると次のようになります。
呼び方 | JIS規格の 種類と記号 | 用途 | 備考 |
---|---|---|---|
配管用 炭素鋼管 (ガス管) | JIS G 3452 SGP 1種類 | 主として1.0MPaG・350℃以下の圧力温度で使用される配管 | 比較的安価で使用しやすい。 表面処理の違いで黒・白の2種類あるが、蒸気用には黒管を推奨。 |
圧力配管用 炭素鋼鋼管 (スケジュール管) | JIS G 3454 STPG370 STPG410 | 主として10.0MPaG・350℃以下の圧力温度で使用される配管 | 呼び径が同じでもスケジュール番号があり肉厚を選択できる。 |
配管用 ステンレス鋼管 (ステンレス管) | JIS G 3459 SUS304TP等 31種類 | 耐食性を重視する場合や低温用や高温用に使用される配管 | 炭素鋼鋼管に比べ高価。溶接など工事に炭素鋼鋼管より高度な技術が必要。 呼び径が同じでもスケジュール番号があり、肉厚を選択できる。 強度的にはSTPG管と同等。 |
一般配管用 ステンレス鋼管 (ステンレス管) | JIS G 3448 SUS304TPD等 4種類 | 主として給水・給湯・排水・冷温水用に使用される配管 | 炭素鋼鋼管に比べ高価。 溶接など工事に炭素鋼鋼管より高度な技術が必要。 |