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ドレン回収

自圧回収とポンプによる圧送

スチームトラップのみによるドレン回収(自圧回収)

ドレン回収にはどのような機器が使われるのでしょうか。蒸気の圧力や回収先の条件によって用いられる機器は異なります。

最も古典的でシンプルなドレン回収方法は、スチームトラップを用いたもので、スチームトラップ入口の蒸気圧力を利用してドレンを再利用先まで移送します。自圧回収とも呼ばれます。この方法は、特別な機器が不要であり、手軽に始められるドレン回収方法と言えますが、スチームトラップの入口側蒸気圧力の大きさでドレンの移送可能な高さや距離が決まります。また、スチームトラップの入口圧力よりも高い圧力のところにドレンを回収することはできないという制約があります。

スチームトラップのみによるドレン回収(自圧回収)

ポンプによる圧送

自圧では回収できない場合は、ポンプの力を借りて(ブーストして)目的地まで回収します。具体的には次のようなケースです。

  • スチームトラップ入口側蒸気圧力が低すぎるため、目的の高さまで上がらない、またはスチームトラップの作動差圧が小さくなり既設のスチームトラップが使用できない
  • 回収先が遠方のため、配管抵抗による背圧増加でスチームトラップからドレンが排出できない、またはスチームトラップの作動差圧が小さくなり既設のスチームトラップが使用できない
  • ドレン回収のための中継タンクが地下など回収目的地よりも低所にある
  • 回収ドレンを直接ボイラーへ給水する
一般的な渦巻きポンプによる圧送

ポンプによる圧送を行えば、スチームトラップの一次側蒸気圧力に左右されず、より遠方、より高所へ回収することができます。ドレンを一度ドレンタンクに集め、ここから渦巻きポンプによってドレンを遠く離れた再利用先まで移送します。この方法では渦巻きポンプの容量・揚程次第で、大量のドレンをより高い圧力の回収先へ回収することができます。高揚程のポンプを使用すれば回収ドレンをボイラーへ直接給水することができるようになります。

しかし一般的な渦巻きポンプでは、揚液の温度が80℃を超えるとキャビテーション発生の恐れがあります。流入水頭(押し込み水頭)が不足すると、ポンプ内部でキャビテーションが発生して圧送不能になるため、高温のドレンを圧送するためには常温の水を圧送する時よりも大きな、3~5mの流入水頭が必要です。この流入水頭を確保するために、ドレンタンク(またはドレンヘッダー)を高所に設置したり、ドレンタンクを蒸気圧力で加圧するといった対策も取られます。

ドレン回収:一般的な渦巻きポンプによる圧送

メカニカルポンプによる圧送

渦巻きポンプのキャビテーション問題を解決するため開発されたのがメカニカルポンプです。駆動源として蒸気や圧縮空気などの気体を使い、ドレンを圧送します。

メカニカルポンプは渦巻きポンプと異なり、遠心力を利用しないのでキャビテーションの心配がありません。また、電気を必要としないため、防爆エリアでの使いやすさというメリットもあります。近年では、小~大容量の物まで種類が豊富になっており、現在のドレン回収方法の主流の一つとして広まっています。

ドレン回収:メカニカルポンプによる圧送

ドレン回収専用ポンプによる圧送

同じく渦巻きポンプのキャビテーション問題を解決するために、エゼクターを渦巻きポンプの入口に配したドレン回収専用のポンプも開発されました。

このポンプはエゼクターの作用によって高温ドレンを加圧した状態で渦巻きポンプに押し込むことにより、1m程の流入水頭でもキャビテーションを起こさず運転することが可能です。大きな流入水頭を確保しなくて良いため、高所に設置するタンクや圧力容器になる加圧タンクが不要になり、省スペース・省工事によるメリットが大きく、通常のポンプに近い感覚で設置、使用できます。

現在、高温ドレンを直接ボイラーに回収するクローズドシステムでは主流のドレン回収方法となっているほか、低揚程のものは、高温ドレンでもキャビテーションを起こさない性質から移送用ポンプにも使用されます。

ドレン回収:ドレン回収専用ポンプによる圧送