省エネルギー
蒸気配管の省エネ対策
蒸気配管からの蒸気損失
ボイラーの省エネ対策ではボイラーの省エネ対策を説明しましたが、ここではボイラーで作られた蒸気を蒸気プロセスに供給するための蒸気配管の省エネについて解説いたします。
蒸気配管は、蒸気が流れる単なる配管で省エネ改善の余地はないと言われることもありますが、蒸気配管は工場の隅々まで行っていることから総延長距離が長く、放熱や蒸気漏れによる蒸気損失は無視できません。
蒸気配管からの蒸気損失は、大きく分けて2つあります。
- 配管やバルブ表面からの放熱損失
- バルブやスチームトラップからの蒸気漏れ
以下では、それぞれの改善のポイントについて説明します。
放熱損失の対策
蒸気配管からの放熱損失低減を図るために検討すべき事項は、3点あります。
1. 既設の蒸気配管、バルブ、配管接続部等の保温の適正化
蒸気配管やフランジなど接続部に未保温の箇所があれば保温を施工します。配管途中に設置されているバルブ・減圧弁・制御弁などにも未保温の箇所があれば適正に保温を施工します。
保温材の種類や厚みは、省エネ法でも判断基準として定められているJIS-A9501の規格に準拠して設計・施工するのが適正と言えます。
2. 配管長さの短縮化
多くの工場では、設備や工場の増設の都度、蒸気配管を延長して来ており、蒸気使用設備までが最短のルートとなっていないことが少なくありません。
もし、配管ルートの見直しによって配管長さを短縮することができれば、それだけ放熱損失を低減させることができます。但し、省エネ目的で配管距離短縮の工事をしても投資採算性が悪いので、他の工事を行う際に併せて配管改造の工事が実施できないかどうか検討するのが効率的です。