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蒸気の基本

フラッシュ蒸気

フラッシュ蒸気・再蒸発蒸気

フラッシュ蒸気とは何かご存知ですか?フラッシュ蒸気は再蒸発蒸気とも呼ばれます。高圧高温のドレンが低圧の雰囲気に晒されたときにドレンの一部が蒸気になる現象をフラッシュまたは再蒸発と呼び、このようにして発生した蒸気がフラッシュ蒸気や再蒸発蒸気と呼ばれます。

蒸気システムや蒸気輸送配管周辺で身近なフラッシュ蒸気と言えば、スチームトラップから排出されたドレンから発生するフラッシュ蒸気が挙げられます。このフラッシュ蒸気を目にするとき、多くの場合、空気中で凝縮して湯気の形になっています。この詳細及び蒸気と湯気の違い等については、トラップからの湯気でも取り上げています。

弁口から排出されたドレンが再蒸発して、フラッシュ蒸気が発生するイメージ

フラッシュ蒸気はなぜ発生する?

フラッシュ蒸気が発生する理由は蒸気表をよく見ると理解できます。通常私たちが加熱に使用する圧力域では、高圧ドレン(高圧の飽和水)は低圧ドレン(低圧の飽和水)よりも保有熱量(エンタルピー)が大きいことを蒸気表から読み取ることができます。

例えば、大気圧で180℃というドレン(熱水)は存在しません。大気圧下では水は100℃で沸騰してしまいます。大気圧下で水が液体で存在できる温度の上限は100℃です。180℃の熱水が突然大気圧に晒されたらどうなるでしょうか?当然ながら、180℃のままでは大気圧下で存在できませんので温度が下がる必要があります。このときにフラッシュ蒸気が発生します。

具体例で考えてみます

飽和温度よりも高い温度のドレン(熱水)は、飽和温度まで温度が下がらなければなりません。温度が下がるのであれば、同時に保有熱量も小さくなるはずですが、何もしないで瞬時に熱量が小さくなることはありません。そこで、その差分の熱量を使って熱水が自分自身を一部蒸発させることで、熱量を小さくします。これがフラッシュ蒸気発生の原理です。

フラッシュ蒸気発生の原理

私たちが常用する圧力域では蒸気の体積は同じ圧力の飽和水に比べて数百倍大きいため、ドレン量に比べると驚くほど多くのフラッシュ蒸気が発生しているように見えます。しかし、質量比率(熱量比率)では見た目の体積比ほど大きな差はありません。

フラッシュ率(ドレン1kgから発生するフラッシュ蒸気の重量)は次の式から計算できます。

フラッシュ率の計算式

フラッシュ率の計算結果

フラッシュ蒸気は悪者?

スチームトラップのドレンから発生するフラッシュ蒸気による湯気は、できるだけ少ない方が好まれますが、物理現象であるフラッシュ現象を無くすことはできません。無くすことができないなら、利用する方法は無いでしょうか?

フラッシュ現象によって発生したフラッシュ蒸気は、ボイラーで発生させる通常の蒸気と同じ蒸気です。そのため、当然フラッシュ蒸気は蒸気として熱量を保有しています。これを積極的に利用しようというのが、フラッシュタンクを用いた廃熱回収システムです。高圧蒸気と低圧蒸気それぞれの用途があるプラントでは、高圧系統のドレンから発生するフラッシュ蒸気を低圧系統で利用することにより、大きな省エネ効果が得られる場合があります。実際の廃熱回収では、フラッシュ蒸気の利用だけでなくドレンの再利用とセットで検討されるケースがほとんどです。

フラッシュタンクを用いた廃熱回収システム