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蒸気の制御

蒸気の圧力制御

加熱なのに圧力を測るのはなぜ?

温度制御の問題点では温度測定の難しさという観点から制御を考えてみました。
本稿では、難しい温度測定をしないで済む方法は無いか?という視点で考えてみます。
通常、加熱用の蒸気としては飽和蒸気が使用されます。飽和蒸気 の特長の一つに『圧力を決めると温度が必ず一義的に決まる』という性質があり、この特長を最大限に活かしたものが、蒸気加熱における 圧力制御です。
つまり、飽和蒸気では、温度を測らなくても必要な蒸気温度が確実に得られるのです。

圧力測定の注意点

圧力の計測には温度計測と同様の問題点は無いのでしょうか?
圧力は閉じた空間のどこを測っても同じ値で、変化は瞬時に伝わります。ですから、温度測定時に問題となる、測る場所による温度の違いや、時間遅れは圧力の場合ほとんど問題になりません。その結果、加熱源である蒸気の圧力を制御することにより、熱源の温度が正確に制御されます。
一方、飽和蒸気で圧力制御を行う際に気をつけなければならない点としては以下が挙げられます。

  1. 熱交換器の蒸気室は蒸気のみで満たす
  2. 圧力損失を避ける

特に1.は大前提ですので、発生したドレンは速やかに排除して蒸気室に残さないようにします。また、蒸気以外の気体があると、分圧の問題で飽和温度が得られなくなりますので混じらないように注意します(この問題は蒸気の分圧で詳しく解説しています)。
2.では、圧力を測定したポイント以降で配管抵抗などが大きいと、圧力が大きく低下し蒸気温度も下がってしまいます。これらの点について十分注意を払う必要があります。

圧力は閉じた空間のどこを測っても同じ値で、変化は瞬時に伝わります。

閉じた空間では圧力は瞬時に伝わり、場所による差がありません。

圧力損失があると蒸気温度は低下します。

圧力損失があると蒸気温度は低下します。
蒸気を流す場合は圧力損失に気をつけましょう。配管抵抗などで蒸気の圧力が下がるとその分温度も下がってしまいます。装置の近くの圧力を制御するなど工夫が必要です。

圧力制御が有効な装置の例

次に、蒸気の圧力制御が行われている具体的な装置の例を見てみます。
例えば薄膜シート状の被加熱物が連続的に流れるような工程では、被加熱物の温度を直接測定することが非常に困難です。しかし、負荷量(この場合、シートの幅・厚み・比熱・含水率・巻取り速度など)と伝熱面積(ロール径・ロールとの接触角度など)の関係が一定であれば、一定温度の熱源を供給することで必ず一定で均一な加熱が行える、と考えることができます。
試運転時など、始めに条件出しを行って適切な調整が済んでしまえば、以降は制御しやすい圧力制御を行うことで安定した生産ができるという訳です。
使用機器の面でも、圧力設定値が一点の固定値で良ければ減圧弁だけで制御できますので、温調弁や制御弁、温度センサー等の計装機器が不要となり、シンプルで信頼性の高い機器構成にできるメリットがあります。

このような蒸気の圧力制御が用いられているプロセス・装置としては、例に挙げたロール状の熱交換器の他に、圧力容器の中に被加熱物を閉じ込めてしまう加硫缶や滅菌器などのオートクレーブ、閉じてしまうと伝熱面や被加熱物の温度測定が困難な熱板プレス機や樹脂成型プレス機などがあります。
これらのほかにも、現在温度制御をされているプロセスでも、見直してみると圧力制御に置き換えることができるケースがあるかもしれません。

シリンダー乾燥機の例:伝熱面は回転し、被加熱物が連続的に流れているため、温度測定が困難です。

シリンダー乾燥機の例
伝熱面は回転し、被加熱物が連続的に流れているため、温度測定が困難です。

金型プレスの例:加熱中は伝熱面や被加熱物が露出していないため、測定が困難です。

金型プレスの例
加熱中は伝熱面や被加熱物が露出していないため、測定が困難です。