スチームトラップの使い方
負圧で使用できるスチームトラップの条件
負圧といえば大気圧よりも圧力が低い真空状態
スチームトラップはその名の通り蒸気系統で使用するバルブの一種ですから、負圧域での使用などあり得るのか?と疑問に思われるかもしれません。
実は蒸気系統では用途や運転条件によって負圧となる箇所が発生します。蒸気系統における代表的な負圧箇所には以下のようなものがあります。
- ストール状態にある機器の蒸気室部分
- 復水タービンの排気管など復水器に接続されている配管
- 蒸気系統を真空ポンプで減圧している場合
(TLVの「真空蒸気加熱システム」では蒸気系統全体が負圧です)
ドレン排出には圧力差が必要
では、その負圧となった箇所からドレンを排出するためにはどうすればよいのでしょうか?
負圧域であっても正圧域であっても不変の重要な原理があります。流体は圧力の高いところから低いところへ向かってしか流れないということです。したがって、スチームトラップからドレンが排出される条件としては、作動圧力差が「正」でなければなりません。作動圧力差が「正」の状態とは、
(一次側圧力)-(二次側圧力)>0
であるということです。ところが、
(一次側圧力)-(二次側圧力)<0
では、ドレンの排出はできません。ストール状態となります。このような状況では外部からの助けを得てドレン排出をしなればなりません。ストール状態についてはストール現象 前編(発生原因と問題)で、ストールの解消方法についてはストール現象 後編(ストールの解消方法)で説明しています。