1. ホーム
  2. 蒸気のお役立ち情報
  3. もっと知りたい蒸気のお話
  4. 【蒸気のトラブル】ウォーターハンマー (対策 その1)

蒸気のトラブル

ウォーターハンマー (対策 その1)

発生場所と原因の特定が重要

ウォーターハンマーは、一瞬でバルブ等を破壊するほどの大きな衝撃を発生させる場合と、長い年月を経て破損に至る場合とがあり、どちらも事故に繋がることがあるので対策が必要です。

ウォーターハンマー 前編(発生のメカニズム)では、蒸気に起因するウォーターハンマー(スチームハンマー)に以下の2種類があることを説明しました。

このどちらが原因で起こっているのか、発生場所やタイミングによって、ウォーターハンマー対策も異なります。適切な対策を取るために、まずは発生源を特定することが重要です。

蒸気に携わる者の心得として「ウォーターハンマーが発生したらすぐにバルブを閉じよ」「バルブはゆっくり操作せよ」とよく言われます。すぐにバルブを閉じるのは蒸気の流れを止めるためですが、バルブをゆっくり開けていくことには2つの意味があります。

  • 蒸気の流速を遅くする ⇒ 慣性力を弱める
  • 急激なドレン発生を防止する ⇒ 単位時間当たりのドレン発生量を抑える

これらの効果によりドレンが高速で流れにくくなるため、バルブをゆっくり操作することで、1.の配管内の高速ドレンが起こすウォーターハンマーを防止できる場合があります。

蒸気の急凝縮を引き起こすきっかけとは?

しかし、「ゆっくりバルブを開けたがウォーターハンマーが発生した」「すぐにバルブを閉めたがウォーターハンマーがしばらく止まらなかった」という経験をされた方もいらっしゃいます。一体何が起きているのでしょうか。

バルブを閉めると止まるウォーターハンマー

バルブを閉めると止まるウォーターハンマー

バルブを閉めても止まらないウォーターハンマー

バルブを閉めても止まらないウォーターハンマー

ゆっくり開けても発生したり、すぐに閉めても収まらないのは、前述の2種類のウォーターハンマーの内、蒸気が急激に凝縮しドレン同士が衝突して起こるウォーターハンマーです。

この急凝縮を起こさせるきっかけは、一言で言えば「波立ち」です。局所的な波立ちが蒸気塊を孤立させ、ウォーターハンマーを発生させます。ウォーターハンマーが発生すると、その衝撃の「揺り戻し」で再び波立ちが発生して蒸気塊を孤立させ、ウォーターハンマーを継続させるという仕組みです。

波立ちによってウォーターハンマーが発生する仕組み

波立ちによってウォーターハンマーが発生する仕組み

波立ちによって蒸気塊が孤立するのは、蒸気塊を孤立させるだけの「高水位のドレン」が配管内に存在しているからです。私たちの実験ではドレン水位が管内高さの約8割を越えるとウォーターハンマーの発生が始まりました。

波立ちはあるが、ドレン水位が低い場合(ウォーターハンマーは発生しない)

波立ちはあるが、ドレン水位が低い場合(ウォーターハンマーは発生しない)

ドレン水位は高いが、波立ちが無い場合(ウォーターハンマーは発生しない)

ドレン水位は高いが、波立ちが無い場合(ウォーターハンマーは発生しない)

ドレン水位が高く、波立ちがある場合(ウォーターハンマー発生)

ドレン水位が高く、波立ちがある場合(ウォーターハンマー発生)

蒸気輸送管のウォーターハンマー対策

蒸気輸送管のウォーターハンマーの多くは、蒸気の供給初期に発生します。バルブをゆっくり操作することで、高速ドレンによるウォーターハンマーは防止できる場合がありますが、蒸気の急凝縮で起こるウォーターハンマーは高水位ドレンを防止・除去しないと解決できません。

どちらのパターンのウォーターハンマーにもドレンが関与しているため、根本的な対策として、蒸気輸送管からドレンを排除します。適切にスチームトラップを設置し、蒸気輸送管内のドレンを素早く確実に排除することが肝要です。

トラップの個数や設置箇所に気を配っているのに、ウォータハンマーが発生するという場合、蒸気輸送管の逆勾配が原因かもしれません。逆勾配の配管では、予定しているトラップに向かってドレンが流れないため想定外の箇所でドレン水位が高くなっていることがあります。

長距離の蒸気輸送管では、僅かな逆勾配がウォーターハンマーの原因になります。屋根や地面を基準に配管を設置しているような場合は、配管勾配を今一度ご確認ください。

下り勾配の蒸気配管の場合(ウォーターハンマーは発生しない)

下り勾配の蒸気配管の場合(ウォーターハンマーは発生しない)

上り勾配の蒸気配管の場合(ウォーターハンマー発生)

上り勾配の蒸気配管の場合(ウォーターハンマー発生)

この他、先止まりになった分岐配管にドレンが溜まっていること等も原因となり得ます。これらはウォーターハンマーの原因の一例であり、ウォーターハンマー解消のためには配管全体を広く見渡して原因を突き止め、対策を講じなければなりません。

配管分岐点の方法によるウォーターハンマーの有無

配管分岐点の方法によるウォーターハンマーの有無

装置のウォーターハンマー対策

ウォーターハンマーは装置内でも発生します。この場合も、高水位の滞留ドレンが原因ですが、定常運転でも発生するところが蒸気輸送管と異なります。

例えばシェルアンドチューブ熱交換器では、被加熱物量の減少や被加熱物温度の上昇等で装置の負荷が減少すると、トラップ前後の差圧がなくなり、シェル内部にドレンが滞留します。これをストール現象と言います。また、装置が停止すると背圧次第ではシェル内が満水になる場合もあります。ストール現象についてはストール現象 前編(発生原因と問題) でも取り上げています。

ドレンの水位が高い状態で、蒸気が供給されると急凝縮のウォーターハンマーが発生します。但し、蒸気輸送管のような激しい衝撃ではなく、小規模な衝撃が一時的に発生するケースがほとんどです。

小規模ウォーターハンマーは、長い年月を経て突然装置を破損させます。破損するのは、圧力の高い=負荷の高い=フル操業の場合が多いので、速やかにドレン排除を行うことが予防保全の観点から重要です。

 シェルアンドチューブ熱交換器のウォーターハンマー

シェルアンドチューブ熱交換器のウォーターハンマー

装置内部にドレンが滞留する原因は、前述のストール現象以外に、熱交換器構造上の問題、バランスライン(均圧管)の問題、トラップや配管の設置状態、ドレン回収の配管状態によっても異なります。それぞれの原因を見極めて、症状に応じた処置が必要です。

ウォーターハンマー (対策 その2)では、装置の対策の続きと対策が難しいとされる還水管系のウォーターハンマーについて考えます。