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スチームトラップの基本

スチームトラップの用途別選定

スチームトラップの主な用途は2つ

スチームトラップを選定する際に、TLVでは用途をお尋ねしています。「用途なんて、ドレン排出に決まってるじゃないか」という声が聞こえて来そうですが、もう一段掘り下げて、どのような場所のドレンを排出させるのにスチームトラップを設置するのか、ということを考えてみましょう。

スチームトラップの基本的な機能は、ドレンの排出と蒸気の遮断です。

蒸気使用装置で使用されるスチームトラップ

このスチームトラップの設置箇所としてまず考えられるのは、蒸気を使用する装置です。熱源として蒸気を使用すれば必ずドレンが発生します。これを排除するためにスチームトラップが使われています。

蒸気使用装置で使用されるスチームトラップ

蒸気輸送配管で使用されるスチームトラップ

次に考えられるのは蒸気を輸送する配管です。輸送流体は蒸気ですが、放熱による蒸気の凝縮でドレンが発生します。このドレンを排出するために、やはりスチームトラップが使われています。

蒸気輸送配管で使用されるスチームトラップ

大きく分けるとスチームトラップの用途はこの二つでほぼカバーできます。もう一つ別の用途も考えられますが、これは後ほど述べます。

用途ごとに異なるニーズ

蒸気使用装置用途と蒸気輸送配管用途では、細かく見ていくと以下の様に、それぞれの状況に異なる点が多くあります。

  ドレン量 通気の間隔
蒸気使用装置 比較的多い 運転時間と停止時間が交互に登場するバッチ運転がある
蒸気輸送配管 非常に少ない 一旦通気すると連続的に通気される

このような違いに対して何を重視した設計にするかで、同じスチームトラップでも構造や機能が異なってきます。

例えば、TLVの「蒸気輸送配管用フリーフロートスチームトラップ」は、蒸気輸送配管に設置されることを想定したモデルで、ドレン量が極めて少ない環境下でも蒸気ロスが最小限となるよう工夫されています。

対して、装置などで使用するフリーフロートスチームトラップは、空気排除能力を高め、コンパクトで大きな排出能力を持つよう工夫されています。

非常に特異なトレース用途

これらの他に、トレースという用途が考えられます。広い意味では蒸気を使用する用途ですが、装置とは異なり別の流体を保温する目的や計器の凍結対策で用いられるものです。

更に、トレースといっても低温トレースと高温トレースでは求められる要件が全く異なります。高温トレースは蒸気輸送配管用途とほぼ同じなので、ここでは説明を割愛します。

注意が必要なのは顕熱も利用する場合がある100℃以下の低温トレースです。低温トレースでは過加熱防止と省エネルギーのため、ドレンの顕熱も利用します。そのため凝縮したドレンをすぐに排出せず、被加熱物に熱を与えて所定の温度に下がるまでトラップ手前に滞留させておく必要があります。

この、敢えてドレンを滞留させる点が、本来のスチームトラップの使い方と大きく異なります。そのため、排出ドレンの温度を設定できる温調トラップという特殊なトラップを使用します。

ドレンを滞留させることを目的とした特殊なトラップである温調トラップは、もちろん他の用途に使用することはできません。

高粘性流体の流動性を良くする

高粘性流体の流動性を良くする

計装機器の凍結防止

計装機器の凍結防止

まとめ

汎用性が高いタイプのスチームトラップは、選定や予備品の在庫管理が容易ですが、逆に考えると用途ごとに「最適な」スチームトラップではない、とも言えます。

スチームトラップは一旦設置すると、他の場所に付け替えられることなく、寿命を全うするまでその設置場所で使用されるのが一般的です。

従って、設置時に最適なスチームトラップ選定を行っておけば、汎用的なスチームトラップを使用する場合よりも装置のパフォーマンスを引き出し、省エネ性を高め、更にはスチームトラップ自体の寿命も長くすることができるのです。