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スチームトラップの基本

スチームトラップの排出能力と安全率

トラップ排出能力表からわかること

スチームトラップがドレンを排出する能力は排出能力線図で示され、ある作動圧力差における排出ドレン量がわかるようになっています。

排出能力線図

この排出ドレン量は、実際の作動状態での値ではない点に注意をする必要があります。

例えば、作動に温度が関係する方式のスチームトラップは、ドレン温度が異なれば弁のリフト量が違ったり、弁の開閉作動頻度が違ったりします。それらの違いが排出ドレン量に与える影響が大きいため、何℃のドレンを排出しているときの値を示しているかということは大きな問題です。

本稿ではスチームトラップの排出能力について考えてみます。

ドレン排出能力の考え方

スチームトラップがドレンを排出する能力の検査方法は 「JIS B 8401 蒸気トラップ」 でも定められており、その測定方法は以下のように定義されています。

  • 排出量試験は、トラップの入口側圧力を指定圧力とし、出口側を大気に開放して、飽和水又はそれに近い状態の温水(サーモスタティックトラップの場合は指定温度の温水)を連続排出させて、その排出量及び排出時間を測定し、1時間当たりの排出量を算出する。測定は、最高使用圧力までの適当な圧力3点以上で測定して、圧力-排出量曲線を作成し、トラップ入口側の飽和水又は温水の温度を明示する。

ここで重要なポイントは、連続排出しているときの排出量を計測して、1時間当たりの排出量に換算していることです。

例えば、30秒連続でドレンを排出させたときに2kgのドレン量が測定されたとした場合、2kg × (3600 ÷ 30) = 240kg → 240kg/hとするわけです。

間欠作動するスチームトラップは、開弁時間と閉弁時間が存在しますので、実際の使用において1時間連続排出し続けるということはありません。つまり、正味の排出量より大きな値が示されていると考えた方が良いでしょう。逆に、連続排出作動を行なうスチームトラップでは正味の排出量とみなせます。

間欠作動するディスク・スチームトラップ排出量の例

間欠作動するディスク・スチームトラップ排出量の例:排出能力線図の排出量

間欠作動するディスク・スチームトラップ排出量の例:実際に使用した場合の排出量

また、前述のようにスチームトラップの機構によっては、同じように連続排出をしていても、ドレン温度の違いで弁のリフト量が異なりドレン量が変わってくる物もあります。一般的に、飽和温度に近い温度のドレンを排出する時の方が、温度が低いドレンを排出する時の量よりも、少ないことが多いようです。

メーカー・製品によっては、温度の高いドレンを排出する時と、低いドレンを排出する時の2つの能力の排出能力線図を用意していることがあります。

排出能力に対する安全率

スチームトラップのカタログを見てみると、どのメーカーでもスチームトラップのタイプによって異なる安全率を設けています。例えば、間欠作動のタイプは2倍~3倍の安全率が、作動の緩慢なタイプでは5倍程度の安全率が推奨されています。

TLV製のスチームトラップの安全率の例
タイプ ディスクトラップ A3N サーモスタティック・スチームトラップ Lシリーズ フリーフロート・スチームトラップ J3X
ディスク サーモスタティック フリーフロート
安全率 2倍 2倍 1.5倍

この安全率も 排出能力表の値と実作動における正味の排出量との間にギャップがあるため設けられたものですが、トラップの作動形態等とは無関係に確保しておくべき意味があります。

その意味とは、計画しているドレン量以上にドレンを処理しなければならなくなった場合にも、装置運転に与える悪影響を最小限にすることです。

想定よりも仕込み時の被加熱物温度が低かったり、想定していたよりも短時間で昇温しなければならなくなったりすると、ドレン発生量は増加します。これをカバーするために安全率を確保します。

長寿命はゆとりから

想定されるドレン量に対して排出能力に余裕を持たせることは、スチームトラップの故障や寿命に対しての安全も見ていることになります。

排水能力一杯のところで使用すれば、トラップ内部のドレン経路をドレンが長時間高速で流れることになり、エロージョンの進行が早くなる懸念があります。また間欠作動のタイプは弁の開閉頻度が高くなり、部品の摩耗進行が早くなる懸念があります。

このような環境下では、例えスペックを満たしていても比較的短期間で故障が発生する可能性が出てきます。できるだけ余裕を持たせて、長く大事に使用したいものです。

スチームトラップの排出能力と安全率の説明図