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スチームトラップの基本

スチームトラップの作動を見る

トラップの作動を理解して選定とメンテナンスの達人に

スチームトラップと一言でいっても様々な種類があり、その特徴や取扱い方法はそれぞれ異なります。スチームトラップを安全に、最高のパフォーマンスで長く使用するためには、それぞれのスチームトラップの構造、作動メカニズムを理解し、そのトラップにあった使い方をすることが必要です。

作動を理解してこそ、正常か故障かの確認、トラブルの推定ができ、メンテナンスの効率も向上します。そこで今回は、代表的なスチームトラップの作動を実際に見ながら、スチームトラップに対する理解を深めていきましょう。

内部の作動はホームページのアニメーションで確認

スチームトラップの構造、作動を知るには、内部を直接見ることが一番近道ですが、金属製のトラップ内部を見ることは通常できません。当社のショールームには、ボディの一部を透明に特別加工したスチームトラップを展示しており、スチーム・アカデミー・セミナー参加者の方にご覧いただいています。

セミナー参加者以外の方にも、内部の作動をご確認いただくため、TLVホームページでは内部をアニメーションで再現しています。このコーナーでは、スチームトラップ以外にエアベントやメカニカルポンプ等も掲載しています。初公開以来10年以上にわたって「見えない動きを見せる」工夫をしてきたコンテンツの1つです。

スチームトラップのタイプ別作動

作動アニメーションを見ていただくとお分かりのように、スチームトラップのタイプによって、その作動は様々です。

フリーフロート・スチームトラップ

例えば、浮力を利用することでドレンの有無を直接作動原理に利用しているフリーフロートタイプ。このタイプの作動について「ドレンが溜まったら開弁する」と誤解している方も少なくないようです。実際には、溜まるのを待つのではなく、流入してきたドレン量の分だけ即座に排出しています。

  • 始動時には、バイメタルがフロートを押し上げて強制開弁させており、エアや低温ドレンがトラップ内に流入するとこれを速やかに排出します。
  • 初期エアおよび低温ドレンの排出が終わり、蒸気とドレンが流入すると、フロートは浮上して、弁口からドレンを排出します。この時、ドレン温度が90℃以上になるとバイメタルは湾曲し強制開弁を終えます。
  • ドレンの流入がなくなれば、フロートは下降して弁口を閉じます。この場合、弁口は常に水面下にあるため蒸気漏れを防止します。
サーモスタティック・スチームトラップ

温度の高低を利用するのは、温調トラップなどのサーモスタティックタイプです。温度差の利用は一見合理的に思えますが、飽和状態での蒸気とドレンは同じ温度です。同じ温度ではドレンだけを排出することはできません。では、どのような作動になるのでしょうか?飽和温度で排出すると蒸気も一緒に出てしまうため、飽和温度では排出せず、ドレンが溜まり温度が下がってから排出します。

  • 始動時は低温のためX-エレメントは開弁しています。そのため開弁した弁口から多量のエアや低温ドレンは速やかに排除され、スターティングアップ時間を短縮します。
  • トラップ内温度が上昇するとそれに従いX-エレメント内のサーモリキッドが膨張します。入口蒸気圧力の飽和温度近くまで開弁を続け、さらに温度が上がると弁口を閉じます。
  • ドレンが流入するとX-エレメントが冷却されて直ちに開弁し、ディスクタイプのような間欠作動でドレンを排出します。ただしドレンが非常に少ない場合、開度は小さく滴り排出的な作動をします。また、飽和温度近いエアも、その温度差に敏感に反応し、速やかに排出します。
サーモダイナミック・スチームトラップ

ディスク・スチームトラップを代表格とする、サーモダイナミックタイプは蒸気の凝縮や運動エネルギーと圧力エネルギーの関係など、複雑な原理で作動します。シンプルな構造に反して言葉で説明することが困難な作動原理です。是非アニメーションで確認してください。

  • 装置に蒸気を送りはじめるとき、トラップ本体内は低温ですから、バイメタル環は縮閉してディスク弁を持ち上げています。多量の初期空気や冷水はすばやくトラップから排出されます。バイメタル環はディスク弁を強制開弁しているので、空気障害を起こすことはありません。始動はきわめて短時間に完了します。
  • ドレンの排出を終わって、蒸気がトラップに流入すると、バイメタル環は加熱されて膨張拡開して、いち早く弁座下に沈みディスク弁に対する開弁干渉を解除します。蒸気は自由なディスク弁の下面を高速度で流れ、このジェットはベルヌーイの定理により低圧域を生じ、更に蒸気のジェットは変圧室へ回り再圧縮による圧力上昇で高圧域を作り、この圧力がディスク弁を押しさげ弁座に圧接閉弁させます。
  • ドレンが流入すると温度降下を生じ、変圧室の蒸気を冷凝させて圧縮降下を生じさせ、ディスク弁下部噴出孔から押上げている入口圧力よりも低くなると、ディスク弁は開弁してドレンを排除します。排水完了すれば直ちに閉弁します。このように流入してくるドレンを間欠的に開閉弁し自動的に排出します。

付加機能の作動も合わせて理解

スチームトラップには基本の動作以外にも動きがあります。代表的なものが自動空気ブロー機構です。これにもいくつか方式があり、動きもそれぞれです。ドレンを排出する弁を強制開弁して空気を排除する機構もあれば、ドレン排出用の弁とは別に独立した空気排除用の弁機構を備えたものもあります。

前者には当社のSS1シリーズなどの一部フリーフロートタイプ、ディスクタイプが該当し、後者にはJX、JHシリーズなどのフリーフロートタイプが該当します。実際の作動を見ることにより、構造だけでなく、どのタイミングで自動空気ブローが作動するのかについても理解できます。「自動ブロー機構」についてはスチームトラップの歴史 後編で説明しています。

また、このような付加機能の動きと、ドレン排出のための基本の動きは、区別して理解しておく必要があります。例えば、同じバイメタルという部品でも、温調トラップではドレン排出機能の中枢として使われ、ディスク・スチームトラップでは、初期ブローのための強制開弁に使われており、その役割は大きく異なります。このようにそれぞれの作動を見て知ることは、各機構、部品の理解に繋がり、正しい選定や適切なメンテナンスに役立ちます。